地場産業の活性化を目指し、小型ロボットアームで自動化への第一歩を踏み出す

地場産業の活性化を目指し、小型ロボットアームで自動化への第一歩を踏み出す

新潟県の燕市・三条市は、刃物や工具、金属洋食器といった金属製品の製造や農業が盛んな地域です。 その燕三条地域の産業活性化を目指す燕三条地場産業振興センターでは、地場産品の販売や産業観光の推進の他に地域の企業への技術サポートや、地域外企業とのビジネスマッチングなどを行っています。

今回、燕三条地域企業の生産性向上を目的に小型ロボットアーム・スライダーレール・コンベヤーベルトの3種類を組み合わせた生産ラインのデモシステムを導入したとのことで、公益財団法人燕三条地場産業振興センター 産業振興部 技術開発課の佐藤氏にお話を伺いました。

生産ラインの簡易デモシステムがロボット導入のハードルを下げる

燕三条地域の企業が10社ほど所属している「生産性向上研究会」を担当する佐藤氏は、研究会で取り組んでいる生産性向上や品質管理、IoT等に関する情報提供の一環として、小型ロボットアーム4台、コンベヤーベルト2台、スライダーレール1台を組み合わせてワーク(カラーブロック)の運搬を行う、生産ラインの簡易デモシステムを導入しました。

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導入した簡易デモシステムは、今後センサーを取り付ける等の改善が佐藤氏によって行われるそうです。
簡易デモシステムが改善され、出来ることが増えていく様子を生産性向上研究会の所属企業に示したいとのことで、佐藤氏は 「生産ラインを改善していく過程を見ることでシステムやロボット導入の流れの理解を深めてもらうことを目的にしています。『どこをどのように改善するか』は所属企業と話し合って決める予定です。」と話しました。

佐藤氏はこの簡易デモシステムに、企業とロボットの橋渡しとなる役割を期待されているそうで、
 「これまでに産業用ロボットについての動画や情報を企業の方へ提供した際は、『ロボットが動いている!すごい!』という反応の後、『でもこんな複雑そうなロボットは導入できない』と言われることが多くありました。そこで卓上で動かせる小型ロボットアームに触れ、『小型のロボットアームで出来るならロボットも悪くない』とロボットアーム導入のハードルがそれほど高くないと企業の方に感じてもらいたいです。その後、FA機器や産業用ロボットへステップアップしやすくなると思っています。小型ロボットアームを企業に導入してもらいたいというより、ロボット導入検討の最初の一歩目として捉えてほしいと考えています。」と語りました。

燕三条地域の背景や課題

燕三条地域には、どのような背景や課題があったのでしょうか。
小型ロボットアームを用いた簡易デモシステムを導入したきっかけについて佐藤氏にお伺いしました。

Q.簡易デモシステムを導入しようと考えたきっかけは何ですか?
佐藤氏:
生産性向上研究会の中、所属企業に生産性向上に関するアンケートを取ったところ、およそ9割の企業が「省人化や自動化に興味がある」と回答しました。
しかしながら一方で、ロボット導入費用や仕様に対する考え方において、SIerと企業の間で自動化に対する温度感が異なるように私自身、感じていました。
例えばSIerは仕様を固めることが大切だと考えていますが、自動化を検討している企業が仕様を固める大切さを理解していなかったり、自動化するにあたり必要な産業用ロボットやコンベヤーベルト、センサー、プログラム等にかかる費用がイメージ出来おらず、SIerから提示された価格に驚いたりすることがありました。
このような、SIerと企業の認識の差異を減らそうと思ったのが、今回のデモシステムを導入したきっかけです。

Q.燕三条地域にある企業は自動化や省力化について、どのように考えているのでしょうか?
佐藤氏:
燕三条地域の企業は「自動化・省力化に取り組みたい」という意識はあると思います。考えの根底には、どの地域も同様かと思いますが、人材不足の問題があります。
燕三条地域にはプレスや鍛造製品を取り扱う企業が多いのですが、手戻りや検査の数が多かったり、重いものを持つ必要があったり等、人に負荷がかかる工程が多いので、生産性向上や省人化に力を入れることで他の工程に割く時間を増やせるというメリットがあります。
しかし企業規模が家族経営や零細に近い人数の会社も多いため、IoT・省人化に割ける人材が少なく、実行に移せていないのが現状です。

Q.ロボットに対して苦手意識のある企業が多いのでしょうか?
佐藤氏:
燕三条地域では、ロボットや新しい技術に対して苦手意識を持つ企業が多いと感じています。
その苦手意識の原因として、「ロボットを導入して操作するのは大変だ」というように認識されることや、設備施工の専門スタッフやSIerでないと動かせないと思っている方も多いことが挙げられます。
例えば、ロボットを昔導入した会社でも「操縦できる人がいない」ということで今は稼働せず倉庫に眠ったままのところもあります。
今回、小型ロボットアームを用いた簡易デモシステムを研究会所属企業へ公開したのですが、デモシステムを見た方は、小型ロボットアームの小ささや、価格の安さ、エンドエフェクタが付属していることに驚いていました。
簡易デモシステムで「ロボット導入は難しくない」と導入するハードルを下げてもらい、「またロボットを使いたい」と思ってもらえたら嬉しいです。

生産ラインを学ぶのに小型ロボットアームが適している理由

Q.小型ロボットアームを使おうと思ったきっかけは何でしょうか?
佐藤氏:
小型のロボットアームがあることは、同じ課の同僚から教えてもらいました。卓上に置けるサイズのロボットということで最初は性能面に不安感がありましたが、実際に使ってみると小型ロボットアームはロボットや生産ラインの基礎を学ぶにはちょうど良いと思いました。
模擬生産ラインシステムを構築する際に、産業用ロボットアームを使用すると、サイズがとても大きいため、システム全体を俯瞰して見ることは難しいです。そこで、サイズがコンパクトな小型ロボットアームを活用することで、テーブルの上で模擬生産ラインシステムを構築することができ、システム全体を俯瞰で見ながら学ぶことが可能となります。

燕三条地場産業振興センター「生産性向上研究会」が目指すところとは

佐藤氏:
今回導入したデモシステムについては、現状に満足せず、システムをどんどんブラッシュアップしていきたいと思っています。
センサーを取り付けたり、3Dプリンターで作成した治具を使ったり等、改善していきたいです。
また他にも、展示会で得た情報を研究会内で共有したり、新潟県内でロボットを導入した会社に訪問し経緯を伺ったり、IoT関連企業との座談会を開いたりするなど、生産性向上研究会に所属する企業がロボットやIoT導入を検討してくれそうなネタを収集して研究会内に展開していきたいと思っています。
「システムやロボットを入れました」「ロボットへの抵抗感が少なくなった」「SIerさんとの考えの差がなくなり、理解度が増した」という話が所属企業の方から聞ければ私自身も嬉しいですし、生産性向上研究会としても目指していきたいところだと感じています。

法人プロフィール

法人名 公益財団法人燕三条地場産業振興センター
主な事業内容 燕三条地域の産業振興、地場産品の販売、産業観光の推進
企業サイト https://www.tsjiba.or.jp

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