[インタビュー動画] WRO 2018 タイで聞く、各国プログラミング教育の最新事情(UAE/ウクライナ)

世界各国でSTEM(Science、Technology、Engineering、Math)教育に対する関心が高まりを見せ、学校現場での取り組みやカリキュラムの積極採用が進む中、日本でも2020年の小学校プログラミング教育必修化に向けて産学官を挙げた取り組みが広がっています。

2018年11月、私たちは国際的なロボットコンテストWRO 2018 タイを視察しました。世界60を超える国と地域から20,000を超えるチーム(小学生から大学生まで)が参加するWROには、代表チームの子どもたちの他、各国から公教育の関係者、学校の教職員、民間教育の指導者や関係者が多数訪れます。今回、世界のSTEM教育の最新事情を間近で目にし、肌で感じることのできる貴重な機会を活かし、会場で六カ国の教育関係者へインタビューを試みました。

本日は、UAE(アラブ首長国連邦)とウクライナの方へのインタビューを中心にお届けします。

UAE(アラブ首長国連邦)

Educational Technology Expert
Dr.Najla Alraway Alnaqbi, Ph.D.氏

UAE(アラブ首長国連邦)の教育制度と今後の予測

アラビア半島、ペルシア湾に面した地域に位置する七つの首長国から成るUAE(アラブ首長国連邦)は、外国人居住者の割合が大きい多国籍社会で、国語のアラビア語に加えて英語が公用語とされています。アラブ地帯のビジネス中心地としての存在感を維持、発展させるため、就学前の幼稚園段階から英語教育が始まり、WROに出場する子どもたちが英語でのコミュニケーションに不足を感じることはないようです。日本とよく似た6、3、3、4制の学校制度、義務教育は小学校の6年間ですが、子どもたちの大半が高校修了まで進みます。学校教育を統括するのは連邦教育省(日本の文部科学省に当たる)で、各首長国には教育局が設けられています。人口のうち現地の国籍を持つ人は10%ほど、国際色豊かなUAEでは、今後数年で人口が大幅に増加する予測もあり、教育への関心はさら増しています。

未来へ繋ぐUAEのSTEM教育

2000年代以降、UAEではコンピュータを学校の教室に導入し、IT教育にも力を入れるようになりました。現在も人材育成を継続した重点目標としていて、2019年度予算でも教育への支出に重点が置かれています[2]

Dr. Najlaは、政府主導で世界最先端のテクノロジー教育(AIやIoTも)に取り組んでいるとお話されます。生徒らが課題に取り組むことができるように、特にProblem Solving(問題解決)、Analyzing(分析)、Coding(コーディング)といった、STEMに関わるスキルに注力しているとのことです。学校に加えて、コミュニティスクールと呼ばれる放課後の活動も重視していて、子どもたちと親が一緒に楽しみながら活動することが奨励されている他、STEMに関係する大会(コンペティション)も多く開催しているとの結びでした。

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ウクライナ

WROウクライナNational Organizer
Innovative Educational Technology

Ms. Oksana Stoyetskaya氏

ウクライナでSTEM教育が始まったのは2年ほど前と新しく、数学、エンジニアリング、科学といったいくつかの教科を組み合わせ、スキルを伸ばすことをしています。また、知識を実践的に使えるSTEM教育で子どもたちの可能性を伸ばすこと、WROのような大会への参加を通じてチームワークを図ることにも取り組んでいるとOksana Stoyetskaya氏はお話されました。

力を入れる外国語教育で培われるコミュニケーション能力

東ヨーロッパ、ロシアの西南に位置し、黒海に面するウクライナは、外国語教育に力を入れていて子どもたちは小学校1年生から英語を必須科目として学習します。そのため、WROのように英語をメインとした国際交流の場面でも困る様子はありません。

また、近年IT人材の輩出国として一気に存在感を増しているウクライナは、ヨーロッパのテクノロジーハブになりつつあり、英語教育によって培った言語力の優位性や地理的な近接性からアウトソーシング先としても高く評価されています。

非営利団体Brain Basket FoundationによるIT人材育成プロジェクト

ウクライナではソビエト連邦時代の流れもあり現在も理数系教育が盛んで、大学、民間企業、非営利団体がそれぞれ人材育成への取り組みを活発に展開しています。ウクライナの教育・科学省(日本の文部科学省に相当)と世界的なIT企業がサポートするBrain Basketの取り組み(Technology Nation)は、世界的に唱えられるIT人材の不足解消を目的としており、全てのウクライナ人が無料でコンピュータープログラミングのコースを受講できるプロジェクトです。こうしたプロジェクトが拡がることで、ウクライナのテクノロジー分野における存在感はさらに増していくことでしょう。

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WRO(World Robot Olympiad)

WROは、世界の60を超える国と地域から参加チームが集まる国際的なロボットコンテストで、小学生から大学生までの子どもたち(児童、生徒、学生)が参加します。ロボットを組み立てプログラムで制御する自律型ロボットによる競技が行われます。国際大会は、そこに集結する各国代表チームのコーチや関係者、国際委員らとの情報交換やインタビューを通して、世界のSTEM教育について知ることのできる貴重な機会です。

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