いよいよ必修化、小学校プログラミング教育、授業指導案集

小学校における新学習指導要領の全面実施とそれに伴うプログラミング教育必修化まで、いよいよ二カ月半となりました。2019年度は新学習指導要領実施に向けた移行期間の後半で、小学校教員向けの研修が多数展開されている他、文部科学省や省庁連携による未来の学びコンソーシアム、民間から多数の指導案が公開されています。今回は、授業ですぐに活用できる指導案を中心にご紹介します。
(文中で「取り組み」「取組」の双方を使用していますが、引用部分では元の文書で使用されている表記を優先しているためです。)

文部科学省「小学校プログラミング教育に関する指導案集」

文部科学省、総務省、経済産業省が連携して立ち上げた未来の学びコンソーシアムによる「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル※1」(WEBサイト)では、必修化に向けた様々な情報が提供されています。2019年9月は「未来の学びプログラミング教育推進月間(みらプロ)※2」として、企業から教材提供や講師派遣などの協力を得て、総合的な学習の時間でのプログラミング学習を推進する取り組みが実施されていました。

2019年10月、文部科学省から「小学校プログラミング教育に関する指導案集※3」が公開されました。ただし、当該ページでのリンク名称が「成果報告書(平成30年度 次世代の教育情報化推進事業(小学校プログラミング教育推進のための指導事例の創出等に関する調査研究))」となっています。この指導案集の「第一章」は、基本的に「未来の学びプログラミング教育推進月間(みらプロ)」のWEBサイトに掲載されている各企業が提供した指導案の文章部分(動画や画像はありません)ですので、情報量としてはWEBサイトの方が多くなります。第二章は、2018年11月に公開された「小学校プログラミング教育の手引き(第二版)で例示された「C教育課程内で各教科等とは別に実施するもの」、C-①、C-②に関連した五つの指導案です。

  • C-① プログラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材などでプログラミングを体験する取組
  • C-② 各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立って、プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎についての学習を実施する例
  • 「プログラミングしてみよう」~はじめてのおつかい~(第3学年、C-②、Scratch)
  • プログラミングとの出会い~キャラクターを動かすプログラム作り~(第3学年、C-①、Scratch)
  • コンピュータとなかよしになろう(第4学年、C-①、Scratch)
  • 自動運転バスをプログラミングしよう(第5学年、C-①、C-②、走行型のロボット教材)
  • プログラミングで物語の世界をアニメーションにしよう(第5学年、C-②、Scratch)

和歌山県教育委員会による「きのくにICT教育 小学校プログラミング教育 学習指導案集」

和歌山県では新学習指導要領の全面実施に先駆けて、全ての公立小中高校において一年前倒しでプログラミング教育が必修化されました。公募型プロポーザルによって決定された委託先は特定非営利活動法人みんなのコードで、400校に上る公立校では「きのくにICT教育※4」と名付けられた体系的なプログラミング教育が2019年度より始まっています。

和歌山県教育委員会のWEBサイトで公開されている「小学校プログラミング教育 学習指導案集※5」には、5年生で13種(算数、理科、社会、国語、図画工作、音楽、総合的な学習の時間)、6年生で10種(算数、理科、国語、図画工作、音楽、総合的な学習の時間、家庭)の指導案があり、一覧表で使うツール(パソコン上のソフトウェア、ロボット教材、機器を使わない)が分かるため、学校に合うテーマを選択しやすくなっています。
2020年度から段階的に全面実施となる新学習指導要領では、小学校、中学校、高校を通じてプログラミング教育が充実され、これまで以上に小中高校のつながりを意識し、段階に応じた資質や能力の育成が求められています。小学校では身の回りにあるコンピュータに気付き、その働きを学び、生活に役立てようとする力を養います。中学校、高校では、小学校での学びを基礎として、アルゴリズムを理解し、コンピュータを使ったコーディングにもチャレンジし、ネットワークを活用した双方向のコミュニケーションも取り入れるなど、より難度の高い内容へと学習を進めます。和歌山県では、小中高校の学習のつながりが必修化を始める段階で明確に示されたことに大きな意味があります。

宮城県総合教育センター プログラミング教育スタートパック※6

第1~6学年のそれぞれ3教科、または4教科について、学習活動に必要な各種の資料(指導案、ワークシート、プログラミングソフト用のデータ、コース図など)をダウンロードできます。

東京都プログラミング教育推進校、研究指定校による単元計画の公開

東京都プログラミング教育推進校である荒川区立第二日暮里小学校は、WEBサイトにプログラミング教育のページを設けています。3~6年生の総合的な学習の時間に実施しているロボット教材を活用した授業について、各学年の単元計画(※7)がPDFで公開されている他、2020年(令和2年)2月下旬には研究報告会が開催される予定です。

  • 3年「レッツ トライ!プログラミング」
  • 4年「ににちロボット研究所」
  • 5年「Make the TOWN」
  • 6年「未来ロボット開発会社」
  • 2020年2月21日、東京都プログラミング教育推進校 研究報告会のご案内※8
    「問題を解決するために論理的に考えていく児童の育成 ~プログラミング教育を通して~」

相模原市立総合学習センター「平成30年度 プログラミング教育 学習指導案集」

相模原市でも必修化に先駆けて2017年度から市内全校でプログラミング教育が実施されています。
「平成30年度 プログラミング教育 学習指導案集※9」

  • 第2学年
    • 国語科、物語教材「スイミー」、ワークシートあり
    • 国語科、「カンジーはかせの大はつめい」(言語活動)
    • 生活科、「あったらいいなこんなおもちゃ」、振り返りカードあり
    • 国語科、「お話の作者になろう」、ワークシートあり
    • 音楽科、「みんなの音楽時計をつくろう」
    • 特別活動、「身の回りの生活について考えよう」
  • 第3学年
    • 体育科
  • 第4学年
    • 国語科、慣用句、指導案
    • 算数科、「箱の形を調べよう」(直方体と立方体)
    • 算数科、「計算のやくそくを調べよう」
    • 算数科、「変わり方調べ」
  • 第5学年
    • 算数科、百分率とグラフ
    • 総合的な学習の時間、「プログラミングで広がる未来の農業」
    • 社会科、「工業の今と未来」
  • 第6学年
    • 算数科、「速さの表し方を考えよう」
    • 理科、「発電と電気の利用」

令和元年度に公開された「相模原市のプログラミング教育の取組※10」(相模原市教育センター)では、小学1年生から中学3年生で実践された授業の展開例が掲載されています。先述の学習指導案集で紹介されている内容に近いものもありますが、小学5年生~中学3年生には新しい授業例も多く、全国に先駆けて実施している自治体だからこその豊富な実例を見ることができます。

香川県教育センター 未来の学び in かがわ※11

  • 第4学年、算数科、「計算の順序」
    (学習指導案は第4学年ですが、第2学年~第5学年での実施に合わせたScratchのサンプルをダウンロードできます)
  • 第4学年、算数科、「調べ方と整理の仕方」
  • 第5学年、算数、「円と正多角形」

千葉市教育センター 平成30年度「プログラミング教育の指導方法・指導計画の開発」

教育研究班のメニューに「教育センター研究内容一覧」があり、平成30年度の研究紀要と学習指導案のPDFデータが公開されています。「プログラミング教育の指導方法・指導計画の開発※12」という紀要に文章と画像で紹介されている小学校の授業実践の事例について、別ファイルで詳しい指導案(学習環境、単元について、児童の実態、指導計画、ある一時間の学習展開、成果と課題など)を閲覧できます。両方を合わせて見ることで授業の様子をイメージできるかと思います。

まとめ

今回は、文部科学省と都道府県や市町村の教育センター等から公開されている資料を中心に紹介しました。この他、プログラミング教育は、文部科学省、総務省、経済産業省の三省が連携して推進していますので、総務省の事業である「地域ICTクラブ普及推進事業」でも多数の事例を見ることができます。2020年1月下旬には、岡山県岡山市(1/23)と石川県金沢市(1/27)で、それぞれ「地域ICTクラブ プログラミング教育フォーラム ~来て、見て、体験!地域ICTクラブの魅力~※13」が開催されます。地域でのどのような活動が進められているのか知りたい方、初心者が体験できるプログラミング教材を見てみたい方は参加を検討されてはいかがでしょうか。

参考リンク

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