PBLをプログラミング教育に組み込むメリットとは

これからの社会で活躍する人材を育てるための手法として、注目を集めている「PBL」という学習法。PBLはどのように生まれ、どのような分野で取り入れられ、そしてどのようなメリットを生むのでしょうか。PBLの概要と導入例、またPBLをプログラミング演習に組み込むメリットについて紹介します。

PBLの概要―PBLとは?PBLの歴史

PBLという学習法が多岐にわたる分野で取り入れられています。文部科学省の定める学習指導要領にも組み込まれ、今後さらに注目を集めていくPBL。その概要と歴史を見てみましょう。

PBL=問題解決型学習

PBLとはProblem Based LearningまたはProject Based Learningの頭文字を取った略語で、「問題解決型学習」または「課題解決型学習」ともいわれています。この2つには明確な定義と違いはありません。どちらの意味でも使われます。

どちらの意味においても、PBLとは「学習者が自ら問題を発見し、解決法を探る過程で知識を得ていく」学習法で、課題に対する取り組み方と過程が重視されるのです。

PBLの進め方としてはさまざまな手法が取られます。ひとつの例として次のような手順があります。

  1. イントロダクション:全体のプロセスと基本事項の説明
  2. 問題事例の提示:問題事例の解説と基本概念などの説明
  3. グループセッション:問題点の抽出と解決策の検討
  4. 自己学習:手順3の記録作成と情報収集
  5. グループセッション:手順4を報告し、再検討が必要であればもう一度手順3へ
  6. 成果報告:問題解決策の提示

このようにPBLではチームでひとつの問題に取り組み、解決策を検討します。そのため、社会で活躍できる人材を育てるうえで、能動的・協働的な教育を実践する手法として注目されているのです。

PBLの成り立ち

PBLの誕生は、アメリカの教育学者ジョン・デューイによって提唱された学習理論が、そのはじまりといわれています。ジョン・デューイの教育論は、「人間の自発的成長を促すために環境を整えることこそが教育の役割である」というものでした。

その後PBLは、1970年頃からカナダのマックマスター大学で積極的に用いられ、1980年にはハーバード大学でも取り入れられました。

現在、欧米では急速にPBLの普及が進んでいます。日本においてもPBLは、医学・歯学・薬学の分野で以前から用いられていました。2020年の教育改革で、PBLが新たな学習指導要領に組み込まれることになり、今後は日本でもPBLを取り入れた授業や学習法がさらに増えるとみられています。

PBLにプログラミング演習を組み込むメリットとは

PBLはプログラミングの教育・演習において、盛んに用いられています。そのねらいとメリットはどういったものがあるのでしょうか。また具体的に、PBLはどのようにプログラミング教育に導入されているのでしょうか。

プログラミング演習とPBL

IT分野のシステムやソフトウェア、アプリケーションの開発は、一般的に、チームでひとつのテーマに取り組み開発を進めていきます。開発フローのなかでプログラミングに限定した場合でも、プログラムによって「何をするか」「どのような手段をとるか」といった課題に対して、その解決法を探る過程はPBLと共通点があります。

開発フローにおける課題解決、という実社会での業務に則した手法でプログラミングを学習することは、将来社会で役立つスキルを身につけるための手段として効果的です。このようにIT分野、特にプログラミングにおけるPBLを用いた学習は、非常に期待されているのです。

プログラミング教育へのPBL導入例

芝浦工業大学工学部では、ロボット教材を使ったプログラミング教育にPBLを取り入れ、その事例報告を公開しています。大学によると、PBL導入後のアンケート結果で、90%の学生が以前より積極的に授業に参加したこと、87%の学生がチーム内での結束が深まり仲間意識の向上につながったことがわかりました。

また、日本工業大学情報工学科では、プログラミングのカリキュラムポリシーとして、PBLを軸とし、さまざまな体験学習を通して、より専門性の高い知識と実践力を養っていくことを目標に掲げています。

まとめ

能動的・主体的な学習法として注目を集めるPBL。その考え方がどのようにして生まれ、発展したのか、またどの分野で用いるのが効果的で、どういった導入手法が取られるのかをまとめました。この学習法は、今後さらにさまざまな分野で取り入れられるでしょう。プログラミングやシステム開発の分野においても、PBLで実践的な学習を通してスキルを養成し、社会で活躍できる人材に育成していくことが期待されます。

参考:

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