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【コマツ】ICT時代の建機開発を支える人材育成

建設・鉱山機械、林業機械などさまざまな産業機械の製造、販売を世界中に展開するコマツ。建設機械メーカーにおいても電動化、自動化の流れが進み、さらなる開発力強化が急務となっています。そのような環境の中、開発力の源泉となる人材育成について、世界をリードするメーカーでの取り組みを、コマツ開発本部 ICTシステム開発センタの澤口さん(写真右)、伊東さん(写真左)にお話しを伺いました。

ICT化に対応するための開発力強化と人材育成

グローバルで事業を展開するコマツは、日本国内に11の工場があります。今回は、そのなかで、電気情報制御系の開発、ソフトウェア開発のスペシャリストが集結している湘南工場での事例を伺いました。現在の課題について、澤口さんは「湘南工場には、多くのソフトウェア開発人材がいますが、近年急速に進む建設機械のICT化に対応するために、電子機器やソフトウェアの開発力の強化が重要な課題になっています。このようなシステムの複雑化に対応していくためには、高度な技術力はもちろん、開発工程の全体を見通す力をもつエンジニアが必要になってくることから、そこをポイントに人材育成をしています。」とのことでした。

また、「学生時代の専攻内容によって、ソフトウェアに馴染みがない方もいますが、新人研修である程度ソフトウェア開発を理解して配属先に行くことで、自分の役割や同じ部署で働くソフトウェアの人の考え方をイメージできるようになると考えています。」と教えていただきました。

グローバルメーカーコマツで求められる
「全体を見通す力」の養成

各々のエンジニアの担当範囲だけでなく、開発プロセス全体を見通す力を持つ人材を増やすことに取り組んでいるコマツ。エンジニア教育の導入となる新人教育ではどのような取り組みをしているのでしょうか。

澤口さん「新人や若手社員は、実際の業務に入ってしまうと、担当業務以外も含めた開発プロセス全体を見通すことは難しく、担当業務の役割や他の業務との連携などを把握することができず、関係者で共有認識を持ちながら業務を進められなくなる場合があります。そこで、全体を見通す力を養うために、開発全体をイメージできるよう、レゴエデュケーションのロボットプログラミング教材を活用した研修『組込みソフトウェア開発プロセス実装 UML-C言語』を7日間実施しています。この研修を通して、ソフトウェア開発工程の全体像をつかんでもらい、配属後に担当業務以外がどのように動いているかを理解できるようにしています。」

研修効果として、受講者からは、「開発を全体像を通して理解できた」「実際に自分でやってみるという機会がないので、開発業務へのイメージがついた」との声があがっているそうです。
また、ソフトウェア教育に加え、電気系や安全分野の教育も実施しています。エンジニアとして活躍するための素養を技術、全体を見通す力の両面で行っています。この新人研修は、8月までは全社研修や工場実習があり、9~12月の間は専門性に特化した研修を行っており、入社からの約9か月、しっかりと基礎を築く時間となっています。

気になるのは、新入社員全員が同じ研修に対応できるスキルをもっているかという点。この点について伺うと、次のように教えていただきました。

澤口さん「もちろん、研修で扱う言語を十分に学んでいる方だけではないので、例えば、C言語ではなく他の言語を扱っていた方や、機械系を学んできたという方もいます。そこで、事前にスキルを確認するテストを実施して、初心者クラスと標準クラスにレベルを分けて、その人たちのレベルに合わせて学べるようにしています。」

社員の学びへのチャレンジを後押しする
教育体制と社風

『組込みソフトウェア開発プロセス実装 UML-C言語』は当初、ソフトウェア開発を担当する人だけに試験的に取り入れたが、人材戦略上、全員が全体工程を理解することが必要だと考え、全体研修に取り入れていくという流れになったそうです。

澤口さん「最初は短い期間の研修から始まりましたが、配属先の部門長アンケートを踏まえて教育チームで試行錯誤を重ねた結果、必要な項目を少しずつ肉付けし、今の内容、期間になりました。ソフトウェア開発の基礎を充実、強化させるためにUMLやC言語の習得に力を入れるなど、年々ボリュームは増えています。UMLの前にC言語を学んでおいて良かったという声もあり、カリキュラムを作る際には、特に、学ぶ順序は意識しています。部門からの要望もあるので、内容は毎年バージョンアップしています。」

新入社員や若手社員だけでなく、中堅社員でもソフトウェア人材を増やすことは、ビジネスの方向を踏まえると必要なことだと考え、リスキリング教育も実施しています。そこでも『組込み ソフトウェア開発プロセス実装 UML-C言語』を学ばせています。この教育には、中堅社員から積極的に応募があるそうで、「リスキリング教育の効果はそれまでの業務に生きているという声をもらいますし、それ以外にも、各人の業務内容に合わせ、社外受講という形で情報収集するケースもあります。受講したいという要望がある社員には、制止することなく研修を受講できる環境があり、手を上げたら、積極的に進められる風土があるところも当社の特徴だと思います。」と社員の学習意欲の高さを保つポイントを澤口さんにお話しいただきました。

実践的な場としてロボコンも活用し
より高い視点、視野を持つエンジニア育成へ

最後に、今後の取り組みについて、お話を伺いました。

伊東さん「新人研修の狙いには、研修中に必要な知識や技術を得ることに加え、先を見据えて配属後の業務で、業務遂行や目標達成するためにどのような目線で進めるかという視点もあります。『組込みソフトウェア開発プロセス実装 UML-C言語』にはソフトウェア開発に必要な知識だけでなく、業務遂行や目標達成に必要な考え方についても学べる教育機会と考えております。また、入社2年目の社員には、ETロボコンに参加してもらっていますが、そこでは競技の勝敗よりも、ソフトウェアを0から構築する、実践的な経験を若手のうちから積んでほしいと思っていますので、そこにつながるステップアップの基礎になるような研修に、今後も改善を続けていきたいと思っています。」

事業方針に則った人材育成戦略とそれを実現するための改善を重ね続けるカリキュラム、そして、社員の意欲に応える社風が、グローバルメーカーの発展を支える基盤だということを強く感じたインタビューでした。

参考:
コマツ
湘南工場概要
プロセス開発研修

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