日本では、2020年のプログラミング教育必修化への注目が続いていますが、世界ではプログラミングはもちろん、STEM(Science, Technology, Engineering, Math)と呼ばれる理工系の学びに大きな関心が集まっています。
国際的なロボットコンテストであるWRO(World Robot Olympiad)にて、各国のSTEM教育の実状をインタビューでお聞きしました。国によって違いはありますが、STEM教育への積極的な姿勢は共通しており、世界的な流れであることがよく分かります。
インド
WRO India 国内委員/India STEM Foundation プログラムマネージャ
Pooja Sharmaさん
インドでは、一般的に小学生からプログラミングやSTEM教育に取り組んでいるそうで、小学生(9歳頃)は、MS-DOSを使用したコンピュータ教育から始め、段階的にWindowsへと学習を進めていくとおっしゃっています。また、プログラミングが得意な子どもは12歳頃でC言語やJava言語を学び始めるそうで、コンピュータに関する学習には長い期間をかけているとのことです。
ロボティクスやプログラミングを学ぶことで、より良い未来を切り拓き、生活の中で使われている科学技術に対して興味を持つきっかけとなり、子どもたちの持つ創造力を養うために必要な学習であるとお話されています。
インド国内にIT人材が豊富であることが成長の要因で、若い技術者が多いことを挙げています。そのためにも教育は重要であるとの結びです。
UAE
WRO国際委員/UAE教育省
ケリーさん、ナジェーラさん
2015年当時、UAEの学校ではコーディングやICTカリキュラムに力を入れたプログラミング教育が展開され、小学校から、Google CS Firstのスクラッチを使用した一貫授業カリキュラムを使用し、子どもたちは並行してロボティクスも学んでいるそうです。高校になるとよりレベルアップしたテクノロジー特化コースも用意されているとのお話です。
プログラミング教育を実践する目的は、論理的思考や問題解決力を養うと共に、先端のものに触れてほしいという思いが感じられます。「意識を変えるためには体験してもらう必要がある」という言葉が印象的なインタビューです。
ドイツ
WRO2015ドーハ国際大会
ドイツ代表チームコーチ ガブリエル・コールデムさん
ドイツではWROの活動は2月から始まり、毎週学校で子どもたちは活動を続けるそうです。プログラミングやロボティクスを学び始めた当初は、なかなかうまくいかないために辛抱強く取り組む必要があり、何度も何度も繰り返して成功につなげていくことで、文章を書く際も役に立っているとお話されています。
WRO国際大会
WRO(World Robot Olympiad)は、世界の60を超える国と地域から参加チームが集まる国際的なロボットコンテストで、小学生から大学生までの子どもたち(児童、生徒、学生)が参加します。ロボットを組み立てプログラムで制御する自律型ロボットによる競技が行われます。国際大会は、そこに集結する各国代表チームのコーチや関係者、国際委員らとの情報交換やインタビューを通して、世界のSTEM教育について知ることのできる貴重な機会です。
参考リンク
- WRO Japan
- WRO 2017 Costa Rica(2017年の国際大会はコスタリカで開催)