画面を飛び出し、現実世界でロボットを動かすScratch連携EV3アプリを紹介

教育プログラミング言語「Scratch」は、MIT(米国マサチューセッツ工科大学)メディアラボのライフロングキンダーガーテングループが開発し、2006年に公開されました。現在までに世界で3,000万人、日本では33万人の登録者を有するまでにユーザーが広がっています。本記事では、Scratchのこれまでを知ると共に、2018年10月初めて日本で開催された「Scratch 2018 Tokyo」でのデモ・ポスターセッションについて紹介します。

Scratchの広がりとプログラミング学習での活用

日本でも2020年の小学校におけるプログラミング必修化に向けて学校や家庭、地域でプログラミングを体験する子どもたちが増えてきました。ビジュアルプログラミング言語のScratchは8歳から16歳(小学生~中学生)が主な対象とされていますが、年齢を問わず子どもから大人まで初めてプログラミングにチャレンジする人たちに活用されています。誰でも無料で始められること、日本語にも対応していること(ひらがな表示もできます)から、図書館や博物館、児童向けの施設などでScratchの体験教室が盛んに実施されるようになってきました。

Scratchを使う児童や生徒はもちろんですが、教える側(教育者)を対象としたコミュニティでは教材を相互に活用したり、質問や意見交換ができたり、どう学ぶか、どのように学んでもらうかが常に研究されています。

見てわかるプログラミンング言語

Scratchは、テキストのプログラミング言語(Java、C、C++、Ruby等)のように関数や構文を学習してからプログラムを作成するわけではありません。ブロックをパズルのようにつないで文章を作っていくだけでプログラムを作ることができます。ブロックは「○○が~~されたとき」、「ずっと○○する」、「音を鳴らす」といった日本語で、文章をつないでいくような仕組みです。キャラクターが動くアニメーションやゲームを自由に作ったり、作品をオンラインのコミュニティで世界のユーザーと共有できたりします。

Scratch 2018 Tokyo 日本で初開催!

2018年10月20日(土)、日本で初めてのScratchカンファレンス「Scratch 2018 Tokyo」が開催されました。Scratchの生みの親であるミッチェル・レズニック教授(MITメディアラボ)が来日され基調講演に登壇された他、招待講演やパネル・ディスカッション、多数の口頭発表やデモ・ポスターセッションが実施され、Scratch情報が飛び交う一日となりました。

今回のカンファレンスには、小学生向け、中学校の技術・家庭科、文系/美術系大学生向け、教員志望の学生向け、教員・教育者向け、幼稚園児からシニア対象など、年齢層も地域も超えた幅広い取り組みの発表者が集まりました。Scratchをプログラミング教育、学校授業に活用している様子やそれぞれの思い、より良い学びへ向けての情報交換が活発に行われました。

広がる、つながる、Scratch!

株式会社アフレルは、デモ・ポスターセッションとして「Scratch とつながる教育版レゴ マインドストーム」を紹介しました。
現在、Scratchは新しいバージョン3.0のベータ版が公開されています。3.0ではマルチメディアや外部連携の機能が充実する予定で、拡張機能を追加することで教育版 レゴ® マインドストーム® EV3やレゴ® WeDo 2.0を制御できるようになります。
ポイントは三つです。

  1. つながる:EV3とScratchがつながることで、EV3のセンサーやモーターを使って計測した現実世界の様子をScratchに伝えられます。
  2. 広がる:タンジブル(実際に触れられる)なEV3とScratchを組み合わせることで、Scratchはパソコンの画面を飛び出し、あなたの目の前の机や教室、もっと大きな体育館までScratchのステージが拡がります。
  3. カンタン:ロボットを動かすためのプログラミングもScratchならブロックの組合せでパズルのように楽しくできます。

ScratchとEV3で今日も楽しくトレーニング!アプリ「EV3マッスル」

Scratch3.0の外部デバイス連携を活かして、レゴ® マインドストーム® EV3をつなげてアプリを製作しました。名称は「EV3マッスル」、スクワットや腕立て伏せといったおなじみの筋力トレーニングも、EV3と一緒なら楽しく続けられるかもしれません。

スクワットでは超音波センサーが距離を計測し、腕立て伏せならタッチセンサーが押されたことを検知して、それらの情報をScratchに送るとカウントされてキャラクターが動きます。反復横飛びは、Scratchのビデオモーションが動きを検知します。疲れて止まってしまい、Scratch内のSOSボタンを押すとEV3が代わりにトレーニング(モーターの動きを変える)してくれます。Scratchから、EV3から、双方向で発生する情報の送受信にはBluetoothを使用します。

ポスターイメージ.JPG

Scratchは従来パソコンの画面上で楽しむプログラミング学習環境でしたが、バージョン3.0になると外部デバイスとの連携で、さらに高度で幅広い楽しみ方ができるようになります。ScratchでEV3のロボットを動かす、EV3の計測情報でScratchのアニメーションを動かすという今回のアプリが、学びの広がりにつながることを期待します。

参考

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