【PBL】芸術系学生がロボット×空き箱で問題解決型学習

【PBL】芸術系学生がロボット×空き箱で問題解決型学習

マンガ学部やデザイン学部、芸術学部といった芸術系の学部を中心にもつ京都精華大学では2021年4月よりメディア表現学部を新設しました。メディア表現学部ではアイデアを形にするためのツールとしてのテクノロジーを理解し活用するためにプログラミングが必修となっているそうです。

しかし在籍する200名弱の学生のうち高校時代に情報でプログラミングを学んだ経験がある学生は少数で、ほとんどの学生にはプログラミングの経験がありませんでした。
そしてメディア表現学部にはITを学ぶメディア情報専攻の他にも音楽表現やイメージ表現(映像表現)を学ぶ専攻があり、そのような専攻を目指す学生の中には元々プログラミングにあまり関心のない学生もいたとのことです。

そのためプログラミングの講義を行うにあたり「学生が持つプログラミングへの苦手意識を払拭し、理解を深めてもらえるか」が課題となっていたようです。

そこで「プログラミングは難しいし分からない」「プログラミングは数学なので出来ない」という学生のイメージを払拭するためにロボットと空き箱を活用した問題解決型学習(PBL)授業を実施したとのことで、京都精華大学 メディア表現学部で講師を務める松村慎先生 にお話を伺いました。

最終課題はロジックレース、ランダムに置かれる空き箱を避けて進む

松村先生は学生200名弱を1クラス25名ずつに分け、ロボット教材のレゴエデュケーション SPIKEプライム(以下、SPIKEプライム)やScratchを用いたプログラミングの講義を週2回×2コマ×4週間にて実施しました。

講義ではScratchでのプログラミング方法やセンサーやモーターの使い方、ライントレース等のコース練習、そして最終課題としてランダムに配置されたオブジェクト(空き箱)を避けてゴールするロジックレースを行ったとのことでその講義の様子を紹介します。

【授業内容】
■入門編

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松村先生:
学生ほとんどはプログラミング未経験のため、最初の講義ではロボットを使わずにScratchでプログラミングの基礎部分のロジックを学習しました。
プログラミングの基礎知識を身に付ける時間を設けることで、いきなりロボットを使ったプログラミングから始めるより、学生はその後の学習をスムーズに理解できるようになったと思います。
第2回の講義からはSPIKEプライムを活用し、直線や四角、三角、ジグザグなど様々な形にロボットを動かすことを通して、まずはロジックを考えるより動かす楽しさを学生に体験してもらいました。

■ロジックレースに向けた練習

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松村先生:
最終課題の「ロジックレース」に向けての練習として、オブジェクト衝突後の動きをプログラミングするために必要な知識となる変数やランダム、ヨー角(※1)、余りの処理、フォースセンサー、ライントレースなどについての講義を行いました。
※1:ヨー角:上下を軸として水平面で回転した時の角度のこと。

■最終課題:ロジックレース

京都精華大学_ロジックレース.jpg

松村先生:
ロジックレースは2人1組をチームとした対戦形式の課題です。
1m×2mほどのコース上に相手チームがランダムに設置したお菓子の箱を避けながら、走行チームのロボットがスタートからゴール(青色)に到着するまでのタイムを競います。

*ルール例
・スタート直後にある円柱を認識したらランダムで左右のどちらかに避ける
・途中でコースの黒枠を踏んでしまった場合は、ジャイロセンサーを用いて正面に向き直す
・コース上に引かれた赤い線を踏んだら減速、緑の線を踏んだら加速
・左ボタンor右ボタンでスタート                                                         など

京都精華大学_ロジックレース_テンプレート.png
松村先生:
赤い線で減速、緑の線で加速等のレギュレーション部分についてはテンプレートとして上記のサンプルを用意し、学生に提示しました。
「障害物を見つけたときにどのように動くか」といった部分は、講義の中で扱ったヨー角や乱数を使用して、学生自身でプログラムを作成しました。

*実際のレースの様子

松村先生:
学生が製作したロボットは必要最低限のパーツのみを取り付けたロボットが多かったのですが、そんな中、動物のような装飾をしたりカラーセンサーをテープでとめてぶら下げたり等、自由な発想で製作されたロボットも見られました。

プログラミング結果が目で見て分かるロボットで学生の苦手意識を払拭、知識やリテラシーの向上へ

SPIKEプライムのScratchベースのプログラミングは想像以上に複雑なロジックが組めたと感じた松村先生は「ロボットを使ったプログラミングの講義を行うことで、学生のプログラミングやロボットに対するリテラシーや知識は向上したと思います。」と話します。

松村先生:
今回の講義は「プログラミングは難しい・分からない」「プログラミングは数学なので出来ない」という学生のイメージを払拭したい、という目的で行いました。

「どうすれば簡単にプログラミングに取り組めて学生の苦手意識をなくせるのか」が授業のポイントだったのですが、いきなりコーディンクから取り組むとプログラミングへの苦手意識を強めてしまうと考えました。
そこでSPIKEプライムを活用することで、苦手意識のある学生がプログラミングやロボットに興味を持って取り組める授業を実施することが出来ました。

例えばif文を使ったプログラミングはロボットの動きと連動しているので、学生にとっても目で見て自分のプログラミング結果を確認出来ますし、変数などのプログラミングならではの知識はプログラミング言語を書いて教えるよりScratchなどのビジュアルプログラミングの方が分かりやすいため、学生の理解は深まったと感じています。

最初にビジュアルプログラミングで学ぶことでプログラミングの基礎が身につけることが出来るので、今後学生がコーディングを学ぶ際には理解がしやすくなると思います。

プログラミングの講義を「自分の作品作り」の場に

松村先生は今後の活動について次のように話しました。

松村先生:
今回講義を行った大学1年生という学年は、芸術系大学の一番の目的である「自分の作品を作る」ということがまだ難しい部分があり、今回のプログラミングの講義でも先生に対して「こうすべきですか?」「ここまでしたら終わりですか?」と答えを探してしまっている場面がみられました。

プログラミングの講義でもブロックを活用して自由に自分の世界を表現してほしいと思いますし、今後はそのような講義が出来るようにしていきたいと考えています。

またSPIKEプライムの拡張性の高さやモーターのパワーを活かして、持ち上げる動きを使ったロボットコンテストの開催も検討しています。

参考リンク

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お役立ち資料

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