【授業実践】天びん型ロボットのプログラミングで身に付く、手順を改善する力:宮根小学校

2019年10月11日(金)、名古屋市立宮根小学校(愛知県名古屋市)において、3年生の総合的な学習の時間でプログラミングを活用した公開授業が実施されました。子どもたちが自分で設計したプログラムを作成する活動の中で、作って試してを繰り返し、手順を改善する力を身に付けようとする内容です。事前準備から関わり、当日は授業サポートを担当したアフレルが子どもたちの学びの様子をお伝えすると共に、担当された先生から小学校中学年における指導計画や他教科との関連の持たせ方について伺った内容をレポートします。

名古屋市立宮根小学校について

愛知県名古屋市にある宮根小学校(福井一道 校長)は、「みんな仲良く やる気をもって ねばりぬく」を教育目標とし、その中で「学習意欲をもち、自ら進んで学び考える力を育成する」「最後まで粘り強く活動できる心と体をつくる」を掲げています。プログラミング教育への取り組みでは、2019年度の夏季休業中、教員向けに実施される校内研修で「プログラミング教育についての学習会」が行われ、全教員を対象とした講習会の様子が学校だよりにも掲載されています。この講習会の内容も活かし、9月から10月にかけて、3年生の総合的な学習の時間でプログラミングを活用した授業が進められました。

プログラミング的思考を学ぶ8時間の指導計画

宮根小学校では、1学期に紙と鉛筆でフローチャートを書き、個人個人で手順を考え、見直し、改善する学習をしていたそうです。また、公開授業までの時間で教材の使い方を学び、サンプルロボットの組立やサンプルプログラムの作成を通じて、ブロックの扱いやアプリケーションの操作に慣れる時間をとりました。それから、理科の単元「ものの重さを調べよう」とつながりを持たせて、ものの重さを調べるロボットを作る学習に取り組む流れになっていました。

指導計画(8時間)(作成:宮根小学校 牧邦彦 教諭)

(1) プログラミングをしてみよう
 ① ブロックの扱いや組立の基本
 ② アプリの操作
 ③ サンプルプログラム&ロボット(天びん型ロボット)の作成

(2) ものの重さをしらべるロボットを考えよう
 ④ プログラムの設計(フローチャート)
 ⑤ ロボットの作成

(3) ものの重さをしらべるロボットを作ろう
 ⑥ プログラムの作成 →公開授業
 ⑦ プログラム&ロボットの動作テスト

(4) 作ったロボットを発表しよう

公開授業の実施内容

  • 開催日:2019年10月11日(金)
  • 学年、クラス、児童数:3年1組、34名
  • 授業:総合的な学習の時間
  • めあて:ものの重さを比べるプログラムを作り、重さのじゅんにならべよう
    (めあての記載は小学3年生までの習熟漢字によります)
  • 課題
    • 二つのものの重さを比べるプログラムを作り、動くことを確認する
    • 必要なプログラムを全て作る
    • フローチャートが正しい順番で書かれているか確認する
  • ゲストティーチャー:株式会社アフレル 鈴木優介

34名の児童は、三人一組でレゴ® WeDo 2.0を1セットとタブレットPC 1台を使用します。公開授業は全体で8時間の指導計画のうち6時間目に当たり、子どもたちは前時までの活動で、ロボットを動かすためのプログラムを考え、フローチャートを使って設計図を書いています。公開授業当日は、まず、設計図であるフローチャートに沿ってプログラムを作成しました。(下の画像:3年生の子どもたちが作成したフローチャート)ここでフローチャートの内容を全てプログラムに置き換えてしまうのではなく、一つの塊ごとに作成と実行、動きの確認を繰り返すよう促しています。早く完成できたグループには、重さをより効率よく調べる手順を探し、天びん型ロボットの改善に取り組むよう指導しています。

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  • 授業の目標
    設計したプログラムを作成する活動の中で、「作る→試す→確認する→改善する」サイクルを繰り返し、意図した活動を実現させるために手順の改善を図る力を身に付ける。

公開授業を終えて、先生方へのインタビュー

本授業の後、実践に至る経緯や指導計画に関して、担任の牧邦彦 教諭にお話を伺うことができました。
(Q:アフレルからの質問、A:先生からのコメント)

Q. 今回プログラミングを活用した授業に取り組まれた経緯をお聞かせくださいますか。

A. やはり来年度からの必修化が念頭にありましたので、宮根小学校でも先行して取り組もうと考えていたところ、名古屋市の学力向上サポート事業の実施校として教材を揃えられる目処がつきました。小学校3年生ですので座学に加えて、体験を通して学ぶことをやってみようと始めました。

Q. プログラミング教材を取り入れた授業に対する子どもたちの反応はいかがですか。

A. 手を動かして自分の作ったものが動く、音が鳴る、表示されるというのは、子どもたちの集中度や目の輝きが違いました。子どもたちが知っているブロック教材で、自分で考えながら組立られる点は取り組みやすかったですね。

Q. 総合的な学習の時間と理科の単元とのつながりで意識されたことは何でしょうか。

A. プログラミングを体験するのはもちろんですが、教科とからめて学習を深められる授業にしたいと考えました。そこで2学期に学ぶ内容から3年生の理科の単元「ものの重さをしらべよう」に関連させて、天びんを使って重さを調べる、調べた重さを比べる、比べた結果からロボットが動く(光る、音が鳴るなど)というプログラミング教育を意識した指導計画を立てました。

Q. グループ(三人一組)で一つのロボット、プログラムに取り組むことは、どんな点が良いと思われますか。

A. 子どもたちは1学期に個人でフローチャートを書いていましたが、中学年ですから思い込んでしまってうまくいかない時もあるわけです。そうした時に、一人で書いて、見直して、改善するというのはなかなか難しいことで、グループで意見を出し合うことで違った考え方に気づけるようになり、より良いものを作ることができれば良いと思いました。実際は話し合う場面も、課題にぶつかる場面もありましたが、子どもたちがお互いに考えを言い合える時間になって良かったです。

Q. プログラミングを活用した授業を実施されてみて、宮根小学校の教育目標として掲げられている3点(みんな仲良く、やる気をもって、ねばりぬく)の中で、特にどの目標につながるとお考えですか。

A.「ねばりぬく」に通じます。自分で書いた設計図(フローチャート)の通りにプログラムを作ってもうまくいかないことがあります。プログラムを作って、動きを試して、確認して、やり直す=改善する、これを繰り返すというのは他の教科ではあまり無いことで、学習活動を通してねばりぬくが身に付くのではないかと思います。

Q. 小学校3年生が取り組む教材として良い点、難しさを感じた点を教えてくださいますか。

A. 良い点はやはり子どもたちがよく知っていて、扱いやすいことです。アプリもすんなり理解できてプログラミングの導入には適していると感じました。ただ、3年生ということもあってテキスト入力(入力ボックスに文字を入力する)の難しさがありました。入力ボックスが小さいので、ロボットを動かさないと正しく入力できているかが分からない点は厳しかったです。
今回は初めてプログラミングに取り組む3年生だったので、教材の使い方もプログラムの考え方も短い期間で学ぶことになりましたが、入学からスタートし、1年生、2年生と積み重ねた3年生であれば十分活用できると思っています。

Q. 先生ご自身は、この教材を今後どのように活用できる、活用していきたいとお考えですか。

A. 下学年(かがくねん)は生活科や総合的な学習の時間で、動くものを使って体験を通じて学ぶこと、上学年(じょうがくねん)は理科や社会が中心になりそうです。例えば、電球や人感センサの働きなど、生活の中にあるものを自分たちで作って体感してみることができます。自分の作ったプログラムが思い通りか、思っていたものと違うか、目で見てロボットの動きで分かるというのは子どもたちにとって学びの効果が大きいと考えます。

ゲストティーチャーの感想

今回の授業にゲストティーチャーとして参加した株式会社アフレルの鈴木優介は、次のような感想を寄せています。

小学校3年生の実践は、単元の学びに加えて、子どもたちが意見を出し合い、グループで考えをまとめるといった互いに学ぶ姿勢も養われる内容でした。授業で使用するブロックやタブレット等は子どもたちにとっても馴染みのある教材で、自在に扱っている様子でした。自分たちの考えたロボットの動きを実現するために、「作る→試す→確認する→改善する」という流れに繰り返し取り組む子どもたちの真剣な様子が印象に残っています。

天びん型のロボットを組立、フローチャートを書き、プログラムを作成し、動きを確認する流れを、教員の指導を受けながら3年生の児童らがしっかり実践できたことで、手順を考え、実行し、改善を図るというプログラミング的思考の学びにつながったと感じました。

使用教材 レゴ® WeDo2.0

ブロックを組み立て、専用ソフトウェアでプログラミングし動かすことで、子どもたちが手を使って自分のロボットを作り、楽しみながらものづくりやプログラミングを学ぶことのできる教材です。モーターやセンサーを活用することで、様々な動きを実現できます。

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参考リンク