モノづくり学習がもたらした地域連携と社会課題解決への大きな一歩

本記事は2018/7/21(土)に開催された第11回 科学技術におけるロボット教育シンポジウムの講演レポートです。

  • 「ロボット活動を通じた自由なモノづくりの実践例
       ~IoTとしてのクリスマス・イルミネーション~」
  • 八尋博士¹、川崎陽祐²
    1:帝塚山中学校高等学校、2:慶應義塾大学大学生

奈良県奈良市、近鉄学園前駅からすぐの帝塚山中学校高等学校では、理科部において、新しいモノを生み出す力を育むことを目的として、「自由なモノづくりを目指した取り組み」を行っています。今回の講演では理科部顧問の八尋博士先生が登壇し、昨年のクリスマスに取り組んだ「IoTイルミネーション」について、学習の成果や今後の課題を報告されました。

自由なモノづくりを目指し、プログラミングの基礎を学習

帝塚山中学校高等学校の理科部では、教育版レゴ® マインドストーム® EV3を用いて活動しています。中学1年生では「プログラミングの基礎学習」、「周辺小学校の児童に向けたロボット教室の実施」、「ロボット大会への出場」に取り組みながら、「プログラミング力」「人を説得する力」「学んだことを活かす力」など、自由なモノづくりのための基礎的なスキルを、段階を踏んで学習していきます。

駅にイルミネーション、学内の活動から一歩先へ

自由なモノづくりの一環として、2015年には「無線在籍確認システム」、2016年には室温を遠隔で確認できる「教室環境測定システム」を開発・製作し、年々、より発展した取り組みを進めてきました。そして、今回発表されたのが2017年の取り組みである、「IoTイルミネーション」です。新たに、不特定多数の人が利用可能なアプリケーション(Twitter)から、インターネットを通じてイルミネーションを制御できる仕組みに挑戦しました。インターネットを介したデータの加工、パネル製作、色表示、画像表現など初めてのことも多く、困難があったそうですが、駅から見える場所にイルミネーションを展示し、駅を利用する一般の方にも見てもらう機会を設けたことで、生徒たちは大きな達成感を得られたといいます。

生徒が自ら現実社会の課題を見つけ解決する意欲を育てる

理科部では、具体的な目標を設定して取り組むことで「現実社会を対象に、課題を設定し解決する意欲を育てる」教育を目指しています。八尋先生は、「近い将来、AIなど新しい技術が実用化され、ますます高度な科学技術を用いたモノづくりが提供される社会になる。その時に、大人になった生徒たちが、自身で魅力あるモノやサービスを創出できるような教育を行いたい。」と語りました。

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【理科部の具体的な目標】

  • 学校生活の中に潜む課題を考え、解決するためのモノづくりを目指す(学校内PBL)
  • 生徒が機能や仕組みを説明できる
  • 生徒が機能や仕組みをモノ(物)にできる
  • 生徒が機能を追加・拡張・強化できる

実用的なモノづくり、地域との連携から社会貢献へ

「IoTイルミネーション」に参加した生徒の一部は、現在、奈良市企業局および地元関西の企業と共に、過疎地域にある家庭の水道メーターの値をインターネットを介して確認できる「水道スマートメーター」の開発・実証・実機の提案といった新しいことに挑戦しています。今まで無かったものを自分たちの手で作り上げようとする姿勢は、次代を拓くために必要な情報を活用して新たな価値を創造する力や、ICTを活用して課題を発見・解決する力を養っていると考えられます。最後に、「今後も自由なモノづくりにチャレンジする生徒を育成できるように、取り組みを続けていきたい。」と八尋先生は語りました。

参考

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