アフリカ、ルワンダの教育事情レポート2019

アフリカ大陸は広大な大地に50を超える国があり、気候、暮らし、経済状況は多様で、独自の文化や言語を有する地域も多くあります。2018年、アフレルはコーディネーターとして活躍されているict4e原代表が率いる渡航プログラムに参加し、初のアフリカ視察を敢行しました。タンザニアのさくら女子中学校で実施したワークショップや様々な施設訪問を通して、子どもたちの学びに対する意欲は世界共通であることを改めて実感しました。一年が経過した2019年秋、再びアフリカへ渡ることを決め、現地校での3回のワークショップ実施やJICAのプロジェクト訪問など、さらにチャレンジングな滞在となりました。本記事では、東部アフリカ、ルワンダ訪問の全容をレポートします。

ルワンダの地理と経済、教育を知る

ルワンダはアフリカ大陸の中央部に位置し、周囲をウガンダ、タンザニア、ブルンジに囲まれた内陸国です。赤道付近であるものの1,500メートルほどの高地にあるため穏やかな気候で、比較的治安も良く、著しい経済成長から「アフリカの奇跡」と呼ばれていますが、国内は産業に乏しく、専門的な知識や技術を身に付けても若者の就職先が少ないことが社会的な課題となっています。

教育制度は日本と同じ6・3・3・4制、義務教育は9年間(小学校6年、中学校3年)、2009年以降、教育で使われる言語は英語とされ、初等教育から英語教育が義務づけられていますが、家庭ではルワンダ語が使われていること、独立前から続く公用語のフランス語もあることから、教員の英語習得が追い付かず、農村部に行くほどルワンダ語、フランス語の割合が高くなると言います。制度の面では劇的な変化を遂げ、小学校の就学率は8割を超える統計が示されている一方、居住地域によっては統計に含まれていない子どもたちも多く、実際の就学率はかなり異なる様子ということでした。

公立の小学校教育は無償、しかし、学校も教員もまだまだ足りない現状

ルワンダでは、公立小学校であれば無償で教育を受けられますが、学校の数、教員の数はまだまだ足りないのが実状です。通学する子どもたちの多い学校では、午前の部、午後の部に分けて授業が行われているところもあります。

Africa Programming Education Tour 主なプログラム

  • Carnegie Mellon University Africa訪問
    ルワンダ政府によって設立された米国カーネギーメロン大学(修士課程)に伺って、意見交換
  • SOS Technical High Schoolにてワークショップ実施
  • JICA(独立行政法人 国際協力機構)訪問
    ルワンダにおいてJICAが取り組んでいる校内研修の質向上プロジェクトについて、お話を伺う
  • ルワンダ教育省 訪問
    学校教育の現状(世界から見たルワンダ教育の位置づけ)や課題について紹介を受ける
  • ウムチョ・イーザ学園でのワークショップ実施

SOS Technical High School

SOSテクニカルハイスクールは、NGOのSOS Children’s Villageによって設立された学校で、ルワンダや近隣国の将来を担う若者たちに技術教育、職業教育を提供することで、国際社会に発展をもたらす人材を育てるミッションを持っています。ルワンダの首都キガリには小学校、中学校、高校があり、プライベートスクール(私立学校)のため、ルワンダに加えて近隣の国々から入学し、寮生活を送る子どもたちも居るそうです。コンピューター、会計、エレクトロニクス(電子工学)、電気のコースがあり、エレクトロニクスは日本と同様、女子生徒はとても少なく、ほぼ男子生徒ということでした。

今回は、中学校がテスト期間だったことから、高校生10名(男子7名、女子3名)がWeDo 2.0を使ったプログラミング・ワークショップに参加してくれました。ルワンダの子どもたちは組み立てブロックに慣れておらず、ばらばらのブロックを渡して自分の思ったように組み立てることを促したものの、手が止まってしまったり、映し出されたスライドのサンプルを再現しようとしたり、自由に発想して取り組めるまでには時間がかかる様子でした。また、本当に「初めて」ブロックを触る子どもたちにとって、組立図をどう見て理解するかも難しかったようです。

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ワークショップの概要

参加者:高校生10名(男子7名:女子3名)
時間を追うごとに参加者が増えていったそうで、ロボット教材の目新しさや楽しそうな様子に心を惹かれ、自分もやってみたくなった生徒が多かったようです。

アジェンダ

  • あひるを組み立ててみよう
  • WeDo 2.0でロボットを作ろう
  • プログラムを作ってみよう
  • ロボットを動かしてみよう
  • ミッション課題に挑戦しよう

参加者はコンピューターを学ぶ高校生ということで、小中学生向けのワークショップとは異なり、彼らが自分たちで理解し、工夫できる時間を多くとりました。日頃の授業でコンピューターを学んでいる高校生たちは、教材のWeDo 2.0やプログラミングソフトウェアにも次第に順応し、最終課題として用意した内容をクリアするグループも出てきたと言います。

日本との交流も盛んなウムチョ・イーザ学園

ウムチョ・イーザ学園は、現在日本にお住まいのトワリ・マリールイズさんが立ち上げた「NPO法人 ルワンダの教育を考える会」によってキガリに設立された学校で、日本から楽器や学用品、スポーツ用品が送られたり、視察団が訪れたりと交流が盛んです。昨年に続き今年も訪問できることとなったウムチョ・イーザ学園では、小学4~6年生の10名がワークショップに参加してくれました。ここでのワークショップには、今年からルワンダの農村部で青年海外協力隊の活動に取り組んでいる上野駿さんが駆けつけてくれました。上野さんによると、公立小学校とプライベートスクールの様子は大きく異なっているそうで、公立小学校でこういったワークショップを実現するのは、設備や受入れ体制、子どもたちの傾向から難しいのではというお話でした。

ウムチョ・イーザ学園では、アフレルが担当したWeDo 2.0によるプログラミングワークショップの他、サイエンスで40名、Ichigojamで20名のワークショップが並行開催されました。当日視察された教育庁の方からは、小学4~6年生でScratchの授業があるものの、なかなか十分に教えられていない実態や次の教材を何にするかといった課題もあり、WeDo 2.0については子どもたちが進んで学ぶところが良いというコメントがあったそうです。

アフリカ視察を終えて

米国や欧州は度々訪ねているもののアフリカ訪問は初となったアフレルの安川はるなは、今回の視察を通じて次のようなコメントを寄せています。

初めて手にしたブロック、初めて組み立てたロボット、初めて作ったプログラム、ロボットが動いた瞬間、喜びに輝く笑顔が印象に残っています。自分で作ったロボットが動いた時のざわめき、次へ次へと自ら進んで学んでいく姿勢は、どの学校でも共通して見られました。今回、ルワンダやケニアの子どもたちにとって、初めてがたくさんのワークショップを実施できたことは、私にとっても大きな喜びです。

渡航前にはICT立国として捉えていたアフリカの成長国も、現地に赴いてみると日常的な停電、机や椅子も含めた学校設備の未整備、教員確保といった厳しい現実が続いていることを目の当たりにしました。一方で、子どもたちにとって学びは特別であること、学びの場を整えることの大切さを身をもって感じた日々でした。これからも学び続ける子どもたちにとって、プログラミングワークショップが新しいことに関心を持つきっかけになれば何よりです。

参考リンク

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