2020年教育改革…移行期の「今」、現場に求められていることは?

いよいよ2020年から教育改革が行われます。大きな変更点として「英語教育の強化」「アクティブラーニングの重視」、そして「センター試験の廃止」などが注目されています。以前、アフレル学び研究所では、『教育改革』についての記事(2020年教育改革は日本の教育をどう変えるか)をアップしました。

2020年の教育改革開始まで残すところ一年余りとなった今回は、予定されている施策について改めてご紹介すると共に、特に小学校段階の実施内容とスケジュールを具体的に説明します。

教育改革、三つの大きな変化

  • 英語教育の強化
    後の段落で紹介する小学校での英語の教科化の他、中学校・高校では英語の授業が「英語で実施される」ようになります。日本語で行われていた英語の授業から、英語で英語を学ぶ授業へと変化します。また、大学入試では2技能「聞く・話す」の評価から4技能「聞く、読む、話す、書く(Listening、Reading、Speaking、Writing)」の評価へ変わり、TOEIC、TOEFL、英検といった資格・検定試験も活用されるようになります。
  • アクティブ・ラーニングの重視
    「主体的・対話的で深い学び」として表現されているように、教員が児童、生徒、学生に知識を伝達する場ではなく、子どもたちが能動的に学ぶ授業が求められます。問題解決学習、調べ学習、グループワークなど既に取り組んでいる学校も多くありますが、教員と子どもたちが双方向にコミュニケーションを取りながら、自ら学びを深めていく授業が一層広がっていきます。
  • センター試験の廃止
    現行のセンター試験は2020年1月の実施を最後に「大学入学共通テスト」へと変わります。2018年度(2018年4月~2019年3月)の高校1年生が初めての「大学入学共通テスト受験生」です。新たなテストでは、知識や技能を測ってきたこれまでとは異なり、課題を発見し解決する能力、思考力や判断力を測るため、記述式問題が導入されます。(国語、数学でそれぞれ3問程度)

小学校における外国語教育、移行期と今後の展開

移行期に展開される外国語学習

2018年度・2019年度の移行期では、すべての公立小学校において、小学3・4年生で年間最低15単位の「外国語活動」、小学5・6年生で「外国語活動」の授業35単位に、新たに15単位を加えた年間50単位で、新学習指導要領の一部を学ぶことが必須となっています。授業は、自分や身の回りのことについて質問したり、答えたりすることを中心に構成されています。例えば”What food do you like?”と質問して、”I like banana.”と答える、といったやりとりです。一部の地域では、2020年度を待たずに新学習指導要領を先行実施するところもあります。移行期間中の授業時間数や教材などは学校にゆだねられ、扱う語数も決められていないので地域や学校によってばらつきがあるのが現状です。

2020年からは小学校でも英語が教科に

2020年からは、小学3・4年生は週1コマ程度(年間35単位時間)の「外国語活動」、そして小学5・6年生は週2コマ程度(年間70単位時間)の「外国語(教科としての英語)」がスタートします。大きなポイントとしては小学5・6年生の教科化です。より多くの表現を使って会話を続けられるようになることを目指し、小学校の間に600~700語程度触れるようにとも定められました。現在、中学校で扱う語数が約1,200語程度ですから、中学校で学習する半分強の語数に小学校で触れることになります。触れる語数を増やすことも大切ですが、それ以上に「聞く」「話す」レベルを高めることが重視されています。小学校の段階で英語の感覚に慣れ親しむ土台作りに取り組み、中学校の英語学習へ繋げていく・・・小中高の連携と一貫化が求められています。

また、新学習指導要領には「外国語によるコミュニケーションを図る基礎をつくる」という目標があります。これからの子どもたちには、世界という舞台で積極的にコミュニケーション取ることがますます求められていきます。評価の視点も変わります。これまでのような良い成績を収めるという知識重視の評価ではなく、相手を理解し、自分の思いを相手に伝えていくコミニケション力が求められ、英語を積極的に話そうとする姿勢が評価ポイントのひとつとなっています。

ここで現行学習指導要領と新学習指導要領のそれぞれに定められた外国語活動の違いを表で見てみましょう。

<比較表(授業時間数)>
比較表(授業時間数).png

比較表(学習内容).png

<新学習指導要領、全面実施までの移行スケジュール>
移行スケジュール.png

プログラミング教育で育む「問題解決力」と「論理的思考力」

プログラミング教育が必修化された経緯とは

2020年度から小学校において必修化される「プログラミング教育」ですが、その背景には人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の急速な発達と利用範囲の拡大などが大きく影響しています。これからの社会を生きる子供たちにとって、コンピュータと主体的に関わり、活かしていく能力が求められています。ただし、小学校の新学習指導要領の「プログラミング教育」はコーディングと呼ばれるプログラミング技術そのものの習得を目標とはしていません。自分が成し遂げたい目標を実現するために、何をしたいのか、どのような方法が必要か、手順はどうしたらよいのかを論理的に考えていく力、論理的思考の育成を目的としています。プログラミング的な思考を理解し、感覚的に身に着けていくことが求められており、コンピュータを主体的に使う素地を身につけることを目指しているとも言えます。

教科書のない学びに、どう取り組むか?

教育改革と共に声高らかに浮上した「プログラミング教育」ではありますが、国語や算数、社会といった他の教科と違って教科書がありません。教科化もされません。既存の「算数」「理科」「総合」といった教科の中に織り込んでいく流れになっています。そんな中、現場の先生からは「どのように授業を展開していったらよいのか」という声が当初から上がっていました。そこで作成されたのが「小学校プログラミング教育の手引」です。「小学校プログラミング教育の手引」は、新学習指導要領で示している小学校段階のプログラミング教育について基本的な考え方をわかりやすく解説したものです。指導例、企業・団体や地域との連携例なども掲載されています。現場の先生方がプログラミング教育に対して抱いている不安を解消し、安心して取り組めるようにするのがねらいです。平成30年11月には改定された第二版が公開され、各地での取り組みを踏まえて指導例が充実しました。(文部科学省 「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」)

プログラミングに関する学習活動はA~Fの六つに分類されています。その中で、学校の教育課程内で行う活動場面は、A~Dの四つが挙げられています。

  • A:学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの
  • B:学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの
  • C:教育課程内で各教科等とは別に実施するもの
  • D:クラブ活動など、特定の児童を対象として、教育課程内で実施するもの
  • E:学校を会場とするが、教育課程外のもの
  • F:学校外でのプログラミングの学習機会

実際に展開されるプログラミングの授業を解説

実際に小学校の「プログラミング授業」ではどのようなことが展開されていくのでしょうか。
例えば、絵を描く、物語を作る、音楽を作る、ロボットを動かすなど、ロボットやコンピュータを使ったプログラミングを体験させることもできるでしょう。また算数の授業では、平面図形や立体をプログラミングで作図したり、LEDを点灯する回路を作るなど理科の授業にも応用できます。変更や指示に対してすぐ反応があるというコンピュータの特徴を活かして、子供たちが試行錯誤を通して、感覚的に論理的思考や問題解決能力を高めていくことになります。「こんなメロディにしよう」と思ってプログラミングしたのにイメージ通りの音楽にならなかったり、「こんな動きを作ってみよう」と考えたのにロボットが思った通りに動かなかったり、実体験の中ではいろんなことが起こります。「次はこうやってみよう」「ここをこう直したら動くかな?」など、子どもたち自身でさらなる仮説を立てて、目標実現に向けて考え手を動かしていきます。
「プログラミング授業」を通して、イメージしたことを自分で設計し手順を考えて形にしていく、そしてさらに良いものへと創っていく、その論理的思考と問題解決のプロセスが大切とされています。その体験は、モノづくりの喜び、創造の喜び、試行錯誤の結果、成し遂げた喜びへと、人間本来の喜びにも繋がります。ここで培っていく柔軟性、創造性、論理的思考や問題解決能力はこれからまさに必要とされている汎用的能力でもあり、「プログラミング教育」のねらいでもあります。

学校教育の現場に求められる準備

小学校プログラミング教育の内容は、上記の通り、大枠以外は決められておらず、それぞれの学校に任されているというのが現状です。またプログラミングという教科は作られず、既存の教科の中に組み込んで実践していく流れとなっています。
「小学校プログラミング教育の手引」で指導例が公開されたものの、まだまだ抽象的な内容も多く、現場の先生方が手探り状態であることに変わりはないでしょう。小学校の先生は、児童を指導する立場ですので、プログラミングはどういうものなのか、準備段階の今から情報を集め、知っておく必要があります。そして児童にあったプログラミング授業を模索しながら作っていくことになります。移行期の今は生みの苦しみがしばらく続きますが、未来ある子どもたちへの思いは立場は違えど先生も保護者も同じです。論理的思考力や問題解決力は子どもたちだけでなく、子どもたちを育てる教育者ひとりひとりにも必要とされているのではないでしょうか。

まとめ

2020年の教育改革は社会全体のニーズとして学校に求められており、先生方によって実践されていくものです。知識・技能に加えて、「問題解決力」「論理的思考」「表現力」を養い、子どもたちが主体的に成長できるよう促すことが先生方に求められています。新学習指導要領の理解とともに、変容への柔軟性を高め、準備を進めていくことが必要となっています。

参考リンク


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