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手やモノを動かす実践型学習で最新技術への関心と学習意欲へとつなげるリカレント教育

近年、人生100年時代やSociety 5.0の到来による社会変化へ対応するため、リカレント教育の重要性がより高まっています。
そういった背景を踏まえ、富山県では産学官で連携し、リカレント教育の推進に取り組んでいます。今回は、ロボット開発や操作において活用できるAI技術やプログラミングの仕組みを理解してもらうため「ロボットプログラミングによるAI×データ分析のリカレント講座」を実施した、富山県立大学・情報工学部知能ロボット工学科の増田寛之先生(以下、増田先生)にお話を伺いました。

全学部・学科で、少人数教育に徹底
基礎学力だけでなく、人間力を養う人材育成を推進

1990年に設立された富山県立大学は、すべての学部・学科において、基礎学力の向上に加え、人間力・実践力・創造力を養うことを目的に、教員一名につき、三名程度の学生が研究室配属となるよう少人数教育を徹底していることが特徴的な大学です。また、増田先生が所属する情報工学部は2024年に新設され、そのうちの知能ロボット工学科は、機械・電子・情報工学にデータサイエンスの技術を融合させ、広い視野を持ち、斬新な技術開発ができる人材育成を目的とし、運営されています。
そんな富山県立大学では、2018年から富山県による委託を受けてリカレント教育を実施しています。初回開催の依頼時には、「実習や演習など、手を動かしながら学んでいく要素がほしい。」という要望があったことや、ロボットを企画し、実際に制作する学内科目があったことを踏まえ、講座内容を構成したそうです。

 

「もっと深く学びたい」と思ってもらう
ツール選択や言葉選びなど講座作りの工夫

2018年に行われた第1回目の講座では、ハードウェア設計や制御の基礎知識を持つ4、50代の中堅技術者を対象に、講義日・実習日と2日間にわたってロボット開発の一連の試作プロセスを実施。その後2、3年に一度のペースで講座を担当し、2回目の実施を経て、2025年に開催された3回目の講座では内容のブラッシュアップを行い、対象を年代不問の設計・制御エンジニアへ拡大したそうです。さらに、過去の受講者からの「仕事の合間を縫って、大学へ2日間来ることが大変だった。」という声があったことを受け、今回は1日で完結するよう変更されました。午前はロボット関連の技術を学ぶ座学形式、午後はレゴ® エデュケーション SPIKE™プライム※1を用い、プログラミングを通して画像認識やデータ分析を行う実習形式で実施されました。
なぜレゴ®エデュケーション教材を採用したのか理由を伺ったところ、「もともと学内授業で活用しており、外部向け講座でも活用できる、ということで決定しました。学内授業では、ロボットの企画から設計・実装まで、学生たちが試行錯誤して作り上げる時間を作りたいのですが、電子機器のセンサやアクチュエータを用いる場合、限られた時間内ではんだ付けや電子機械系の設計まで行うことになります。その部分を簡略化するため、機材を探したところ、Simulinkというソフトウェアでモデリング・シミュレーションでき、それに対応しているレゴ® マインドストーム® EV3で実装に至るまで、素早く試作できるため、採用しました。この流れもあって、リカレント講座では、EV3の後継機であるSPIKE™プライムを採用しています。」と、増田先生は教えてくださいました。
今回の受講者からは、ちょうど良い難易度で役立つスキルを得られた、といった評価が多く寄せられたそうです。適切な難易度設定のため行った工夫や、カリキュラム作りに対する想いを伺ったところ、「受講者の方が『もっと深く学びたい』と、感じるきっかけに繋がればと考えています。そのため、導入部分に興味を持ってもらえるように、その場の反応を見ながら難しすぎないワードチョイスをしたり、大卒の受講者も多いことを踏まえて大学院のスタート部分を意識したりしながら、構成しています。」と、増田先生は語ってくれました。

 

機械設計者にも求められる情報技術
最新ツールを取り入れた、より実践的な学びへ

今回の講座では、20代を中心に、設備やロボットなどの生産技術分野、設備保全改善、ソフトウェア開発など、幅広い職種の方が受講したそうです。その属性を踏まえた上で、今後は機械設計者にも受講してもらいたいと考えているそうです。
「技術開発が進む中で、機械設計者はロボットに関する情報技術と関わる機会がさらに増加すると思います。そのため、基礎的な情報技術を知ってもらい、より効果的な機械設計に生かしてもらえると良いのではないか、と考えています。その中で、AIといった最新ツールのメリット・デメリットなどの要素も入れ、適切に活用してもらえるようにお伝えしていきたいです。」と、増田先生は今後の展望について教えてくださいました。

ロボットを用いた実践的なプログラムを通じて、情報技術への理解を広げる工夫が随所に見られた本講座。
リカレント教育のあり方を考えるうえで、示唆に富む内容だったのではないでしょうか。

参考:
※富山県リカレント教育等産学官連携推進会議
※富山県立大学リカレント講座概要
※1 レゴ® エデュケーション SPIKE™プライム

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