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セミナーレポート:中小製造業の自動化にこそ最適な「協働ロボット」、導入前に実践すべき2つのポイント

2024年2月15日に行われた、ロボットによる業務自動化を検討する際に実践すべきポイントに関するセミナーレポートです。

事業継続において、生産力の維持・発展は最重要項目に挙げられます。にもかかわらず、近年、中小製造業では生産力を生み出す人材の不足が加速しており、人材確保と並行してロボットによる業務自動化を検討する企業も増加傾向です。

本記事では、セミナー講演内容より、「中小製造業になぜ協働ロボットが向いているのか」、「導入する前に実施すべきことはなにか」といった点についてレポートしています。ぜひ最後までお読みください!

※株式会社アフレルの豊嶋氏、谷口氏によるセミナー講演内容を一部抜粋して記載しています。

縮小/単純/拡大再生産どの未来をとるか

人材面に焦点を当てた際に中小製造業で避けたい未来としては、「職員の高齢化により生産力が低下、全体の生産数が下がる」こと、その結果「請けられる仕事を減らさざるを得ない」ということが起こり得ます。将来的な事業拡大にあたって、拡大再生産をどのように目指すかあるいは促進するかという点で生産環境の再構築が重要となります。昨今、再構築に向けてロボットによる業務自動化を検討する場合が多く、さらにその中でも比較的導入のハードルが低い協働ロボット(※)に注目が集まっています。
※本セミナーにおける「協働ロボット」の定義は、「安全柵なしで人と協働することが認められたロボット」を指します。

どんな人手が不足しているのか、なぜ人手不足なのか

以下のデータが示す通り、製造業の34歳以下の人材は年々減少しています。人材確保の面で言えば、まず他業種との人材の取り合い、そして製造業界内での人材の取り合いがあります。ロボット導入という施策を、このような人材獲得合戦における他企業との差別化の施策としても活用していただけるとよりよいのではと考えます。またもう1点、65歳以上の就業者数が少ないことも製造業界における課題です。

事業継続に向けて生産力を維持発展させるために重要なポイント

生産力の維持・発展のために持つべき観点は二つです。

  • 作業自動化により現在の人手のままで生産力の担保と向上を図ること。
  • 更に会社の事業継続を確実にしながら事業を発展させていくためには、継続的に人が活躍できる魅力ある職場環境を構築する必要があります。

そのためには、先端の取り組み(≒ロボット導入を通して実現したい魅力的なビジョンを掲げている)企業という打ち出しを行うことが重要であり、その実現に向けた手段の一つとして協働ロボットが貢献できると考えています。

中小製造業に協働ロボットが最適な3つの理由

ここからは、協働ロボット導入が最適な企業(中小製造業)に共通している主な3つのポイントをご紹介します。

①多品種少量生産であること
【理由】協働ロボットは、汎用性が高く多工程に対応できる+移動が楽

②ロボットの取り扱いに関する経験者がいない/少ないこと
【理由】協働ロボットは、ティーチング(ロボットに動きを教える)が容易

③ロボットの設置スペースが限られていること
【理由】協働ロボットは、人と同じスペースに設置できる(安全柵不要)

ロボットを導入するときに実践すべき2つのポイント

今回のセミナーのタイトルにもなっている「導入前に実践すべき2つのポイント」がこちらです。一つが製品分析、もう一つが作業分析です。
① 製品分析
多品種のうち、どの品種を対象にするかという選択です。仮に100品種を製造している場合でも、上位10品種程度で半数以上の工数を占めている場合があります。ロボット導入検討における製品分析では、生産実績データの分析を通し過去3年分のコスト比率の高い品種を対象とします。

② 作業分析
どの作業をロボットで自動化するのかという選択です。ロボット導入検討における作業分析では、作業工程を細分化し、それぞれの作業時間を測ります。より時間のかかる作業をロボットに代替することで投資対効果を高めることが期待できます。

導入に向けたスケジュール/導入後の推進・浸透に重要な活動

自動化に向けた大まかな流れは以下の通りです。

  • 関係者によるキックオフ
  • 製品分析・作業分析(優先順位付け)
  • ロボット化・自動化構想立案・投資対効果試算
  • ロボット化・自動化実行
  • 浸透・発展

特に「浸透・発展」を促進するためのポイントとしては、ロボット化・自動化を通して会社として実現したいこと(生産性をあげて事業発展を実現する、職員の方々の待遇を上げる等々)に関するトップからのメッセージを明確に打ち出すことや、自動化の取り組み自体を先進の取り組みとして外部へ情報発信しブランディングを行う若手の採用活動にもつなげる等の活用を行うことが重要と考えます。

協働ロボットシステムの選定方法

ロボットシステムの提供には、①オーダーメイドのロボットシステム、と②パッケージorセミオーダー(イージーオーダー)の2パターンがあります。

①オーダーメイドのロボットシステム
<メリット>
ゼロから企業固有の要望に合わせたシステム設計、保守管理も委託することで社内に専門家が居なくても導入できる。
<課題>
システム導入費用が数千万円~数億円かかる場合が多く、保守管理委託のランニングコストがかかるため継続的な予算確保が必要になることや、設計から導入・運用まで半年から数年を要する。

②パッケージorセミオーダー(イージーオーダー)
<メリット>
・既に完成されたシステムなので短期間で導入ができる
・動作検証済みシステムなので導入前に実際にデモ操作などを通して具体的なイメージを持てる
・開発がある程度された状態のシステムなので、数百万~数千万円で導入ができる
<課題>
現在の世の中にあるサービスラインナップは単純作業に特化しているサービスが多く変則的な作業の代替は向いていないので、自社の状況に合わせてどういう提供方法がよいのかを検討する必要がある。

更に、ゆくゆくはロボットの運用内製化を目指す場合の人材育成のポイントとしては、現場職員の心理的ハードルをさげる施策を打った上で、「簡単なトラブルシューティングに対応できるようなる」「運用場面の変更に伴うロボットシステムの微調整や微修正ができるようになる」「テクノロジーを活用した自動化構想を考えられるようになる」といったことが目標設定として考えられるかと思います。人とロボットの距離感は、現場職員の方々あるいや企業様によっても様々かと思います。それぞれの状況に合わせて、内製化する仕事の切り出しや具体的な達成イメージを描くことが重要です。

まとめ

特に中小製造業は、①多品種少量生産であること、②ロボットの取り扱いに関する経験者がいない/少ないこと、③ロボットの設置スペースが限られていること、という理由から協働ロボットの導入が最適と考えます。ロボット活用を通した業務自動化にあたっては、導入前の「製品分析」および「作業分析」という2つのポイントをふまえた、自動化の優先順位付けが非常に重要です。


特に中小製造業における業務自動化に向け、今回の記事が今後の施策検討にあたり参考になりましたら幸いです。次回記事もご期待ください!

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