本記事は、2015年5月7日発行のアフレル通信vol.7(オレンジタイム)の内容を編集・追記したものです。(ご所属等は発行当時の内容です)
World Robot Olympiad(WRO)2014国際大会がソチで開催されました。この年、日本代表として出場した、奈良教育大学附属中学校「AstroBoys」がオープンカテゴリー 中学生部門で 見事金メダル(1位)を獲得し、素晴らしい成績を納めました。
今回は、「AstroBoys」のチームメンバー(山本君、長野君、堀口君)、そしてチームを金メダルに導いた顧問の葉山先生にお話を伺いました。
国際レベルのロボットに圧倒、乗り越えて金
国際大会は、全世界から選出された代表チームが集まるだけあって、それぞれのチームのレベルの高さに圧倒されたと言います。AstroBoysのメンバーは「会場にあった大きなロボットには衝撃を受け、そんな高性能なロボットが沢山ある中で、世界のロボットと真剣勝負をし、優勝できたことはうれしく思っています。」また将来について、「この経験を大切に、世界大会で学ぶことのできた、コミュニケーション力などを活かして、国境を越えて活躍できる人になりたいと考えています。」と、当日の様子や思いを語ってくれました。
国際大会を経た選手たちの飛躍的な成長
AstroBoysの指導を担当する顧問の葉山先生は、国際大会に出場した選手たちは「創造力」「論理的な思考力」「表現力」が飛躍的に伸びたと語り、それぞれについて以下のようにお話くださいました。
■創造力
世界一を本気で目指し、創意工夫を積み重ねながらロボット開発を進める中で、新しい物を生み出そうとする創造力が飛躍的に伸びました。
■論理的思考力
複雑なロボット機構の製作や、難易度の高い制御プログラムの作成を通して、論理的に施行する能力が大きく伸びました。
■表現力
国際大会で通用するハイレベルなプレゼン技術の習得を目指して、様々な特訓を積み重ねた結果、子供たちの表現力が大幅に向上しました。
葉山先生は最後に、世界大会を終えた後の選手たちの学生生活について「それまでとは見違えるような活躍を随所に見せるようになり、WROでの取組みが、子供たちを総合的にも大きく伸ばしていることを、改めて実感できた」と語りました。
更なる挑戦「世界での経験を伝えていきたい」
現在選手たちは、学校行事などにおいて生徒会と連携し学校の活性化に努めたり、後輩への技術指導を行ったりと、これまでよりも活動の幅を広げています。他にも、海外の研究機関に積極的につながりにいき、さらに深い学習への挑戦を試みたり、地域の小学生へのロボット講習会での指導係を努め、自分たちの活動を広めたりもしており、今後の活躍がますます楽しみです。
WRO金メダリストたちの得意なこと
最後にAstroBoysのメンバー3人へ、「得意なこと」について質問しました。筆者は「プログラムの作成が得意」など、ロボコンに関する回答が返ってくると予想しましたが、意外な回答が返ってきました。
山本君:得意科目は理科で特に深海と宇宙についての学習に興味があります。小学校の時、野球でエースを務めていました。
長野君:得意科目は社会です。実は理系より文系の方が得意です。自慢と言えば、やはり世界一になってことです。あと漢検1級を持っていることです。
堀口君:得意科目は社会と英語です。英語を用いた仕事に強い興味があります。小学校から野球をしていて数多くの大会で、良い成績を修めた経験があります。
「得意なことはプログラムの作成です。」と言わない謙虚さこそ、彼らが日々向上し成長している所以なのかも知れません。
WRO
(World Robot Olympiad)の競技カテゴリー
世界中の子どもたちが自分たちでロボットを製作し、プログラムによる制御を競う国際的なロボットコンテストWROには、いくつかのカテゴリーがあります。
レギュラーカテゴリー
最も参加チームの多いレギュラーカテゴリーは、指定される競技コース・課題をできるだけ速くかつ正確にクリアすることが求められます。小学生、中学生、高校生部門があり、指定される市販ロボットキットのみを用いてロボットを製作します。
Advanced Robotics Challenge(ARC)
17~25歳の学生が非常に高度な制御と複雑な機構にトライするAdvanced Robotics Challenge(ARC)では、ロボットの筐体への深い理解と工夫、より高い技術力による解決が必須となります。
オープンカテゴリー
オープンカテゴリーは社会問題を解決するロボットの制作がテーマで、提示された四つのゴールのうち、一つを選んでロボットを構築するというものです。大会当日は、2m×2m×2m(幅×奥行×高さ)のブースに設置するロボットやポスターなどの展示物、審査員に向けてのデモンストレーションやプレゼンテーション(国際大会では英語による)等によって審査されます。