脳科学から判断する最適なプログラミング教材

本記事は2018/7/21(土)に開催された第11回 科学技術におけるロボット教育シンポジウムの講演レポートです。

  • 「簡易脳波計を用いたプログラミング教材の特性検証」
  • 佐藤 正直¹、山本 利一²、佐藤 克己¹、小祝 達朗¹
    1:東京学芸大学連合大学院、2:埼玉大学

 東京学芸大学連合大学院の佐藤正直氏は、学習者に適した教材を検討するため、中学生のプログラミング初学者の脳波状態を測定し、学習時の差異の研究を行いました。本記事では比較した二つの教材の研究結果についての報告をレポートします。

学習者から見た、本当に良い教材とは

今やインターネットでプログラミング教材を検索すると、数多くの教材を見つけることができますが、学習者にとって本当に適した教材とはどんなものでしょうか。佐藤氏は初学者がプログラミング学習を行っているときの脳波を測定し、脳科学の視点からプログラミング教育に適した教材を探り、その検証結果を発表しました。

比較教材と実験方法

以下2種のプログラミング教材を比較対象として選定しました。

・制御学習プロロボ(以下プロロボ)
簡単なライントレースしかできませんが、その分安価なため、技術科教員の中では知名度が高い教材です。フローチャート式のプログラムによってロボットを制御します。フローチャートは日本語で書かれているので、ブログラムを見れば、プロロボがどのような動きをするのか理解できます。

教育版®レゴ®マインドストーム EV3(以下EV3)
小学校から企業まで、あらゆる教育現場で使われているロボット教材です。センサーやモーターの数が多く、それぞれのブロックアイコンを組み合わせながらプログラミングを行います。組み立てや、プログラムを自由に組み合わせることができ汎用性の高い教材です。

実験方法はまず、15分間でレクチャーを行います。レクチャーでは、センサーで黒いラインを測定し、そのラインに沿ってロボットを動かす「ライントレース」を学習します。その後チャレンジ課題として、「ライントレース後にロボットが止まる」というプログラムを、初学者自身で作成するよう指示します。この、チャレンジ課題を行っている際の脳波を測定します。

   1.jpg(EV3使用時の脳波) 

2.jpg(プロロボ使用時の脳波)

脳波測定から見る今後の可能性

既にレクチャーを受けている「ライントレース部分」は、リラックスした状態で作成していましたが、プロロボ使用時は、ロボットが止まるプログラムを作成する際、脳に「思考」「動揺」の反応が見られました。一方EV3使用時は「思考」「動揺」の他、「集中」や「視覚情報処理」などの脳波も測定されました。

講演の中で、プロロボは日本語のフローチャートを並べているため、初学者でも理解をするのに時間がかからないが、EV3は各ブロックの設定が多く、それぞれを理解することがまず必要だというコメントがありました。それぞれの教材の特徴が、脳波で明確になっただけでなく、当実験結果を活用し、学習目的によってプログラミング教材の選定が可能になります。また、今後教材作成の過程や教員の指導方法など、様々なシーンへのフィードバックを可能にする日も近いのではないでしょうか。



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