東部アフリカ、ルワンダ/タンザニアにおける教育最前線

アフリカ大陸は広大な大地に50を超える国があり、気候、暮らし、経済状況は多様で、独自の文化や言語を有する地域も多くあります。発展著しいアフリカの中でも、近年特に注目を集めているのが東部アフリカにあるルワンダ共和国です。海岸線を持たない内陸国で、かつ小国でありながら環境保護や経済成長において目覚ましい成長を遂げています。また、ルワンダと国境を接するタンザニアは幹線道路や港湾、空港の整備により世界からの玄関口となり、ルワンダなどの内陸国に繋がっています。タンザニアの陸・海・空のインフラは、近隣諸国も含めた東部・南部アフリカ地域全体の経済発展にとって重要なものとなっています。

ルワンダ/タンザニアと私たちの関わり

  • 2017年4月:(株)ict4e代表の原秀一様をお招きし、アフリカの最新事情に関する特別講演会を実施
  • 2017年9月:タンザニアからの留学生1名のインターンシップ受入れ
    JICA(独立行政法人 国際協力機構)のプログラム、アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)によるものです。
  • 2017年10月:ルワンダ在住の日本人の方の協力を得て、アフレルスタッフが現地視察
  • 2017年12月:ルワンダ在住の笠井綾子様をお招きし、特別講演会
  • 2018年10月:アフレルスタッフがアフリカ各地を訪問し、タンザニアの現地中学校でワークショップを実施

本記事では視察で得られた現地の様子やアフリカと関わりの深いゲストお二人の講演から、アフリカ、ルワンダ/タンザニアの教育事情をお伝えします。

アフリカの奇跡 ルワンダの今

現在の大統領であるポール・ガガメ氏は、優れたリーダーシップで安定した国づくりを進めていると言われます。以前から、農業が主たる産業で、紅茶やコーヒーが主な輸出品でしたが、内陸国のため空輸やトラック輸送に限られ、他国を通過する必要もあることから物流には不利な条件となっています。ただ、アフリカ諸国の中では犯罪が少なく、首都のキガリは緑あふれる美しい街で、治安の良さ、汚職の少なさ、政治的安定、穏やかな国民性といった点から、外国企業にとっては事業進出に適した環境と言えるでしょう。

RDB(Rwanda Development Board)ルワンダ開発庁

外国資本の積極的な導入を目的として、海外からの投資窓口はルワンダ開発局にて一括で対応され、必要書類が整っていれば最短6時間で法人登記が可能とされています。少ない手続きで法人登記でき、出資規制(隣国タンザニアでは外国資本は49%まで、過半を超えないこととされている)や資金の持ち出し規制も無く、重点産業における優遇税制もありと、投資を考える人々にとっては整備された環境であると言えるでしょう。

IT人材育成を目指した環境整備

ルワンダには日本の商工会議所にあたる組織でICT関連事業者を専門とする「ICT商工会議所」が存在します。首都キガリには、学生や社会人が無料で使用できるFABLAB、kLabを有し、3Dプリンターや工作機械を備え、誰もがものづくりやソフトウェア開発に自由に取り組める環境を用意しています。人的交流、技術交流の拠点として機能しており、ICT企業はここに集う若者を積極的にハントしていると聞きます。これらものづくりのための施設、次世代のメイカー(Makers)を生むための基盤づくりは、日本のJICA(国際協力機構)や神戸市、神戸情報大学院大学といった教育機関の支援が大きな役割を果たしています。

2012年、米国カーネギーメロン大学を誘致し、ルワンダで世界的にも高いレベルの教育を受けられる環境を実現しました。

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ルワンダ在住者に聞く、教育事情

2017年12月、アフレル福井本社へルワンダ在住の笠井綾子さんをお招きし、特別講演会を実施しました。笠井さんはご家族でルワンダにお住まいで、現在は観光コーディネートや工芸品の貿易の他、日本企業がルワンダへ事業進出する際の支援や手続き代行も手掛けていらっしゃいます。

ルワンダの公用語は、ルワンダ語、フランス語、英語です。現大統領のガガメ氏や政府関係者が英語の話者であることから、10年ほど前に公用語に英語が追加されました。小学校3年生まではルワンダ語による授業、4年生からは全教科を英語で学ぶそうです。生活する上では英語が無くても困らないそうですが、ビジネスには英語が必須とのことで、若い世代はルワンダ語、フランス語、英語のトライリンガルであることが強みと言われます。基礎教育と言われる9年間を終えると高等学校への進学が可能で、職業訓練校への進学も多いとのことです。

タンザニアの教育事情

タンザニアからの留学生がインターンシップに来た際、教育制度についても話を聞きました。日本の小学校に当たる初等教育は7年間、セカンダリレベルと言われる前期中等教育(日本では中学校)が4年間、アドバンスドレベル=後期中等教育が2年間、その後、高等教育として3~6年間となるそうです。公立校とは別に私立校(private)もあり、費用はかかるものの私立校の方が総じて教育環境は整っているとの話でした。

タンザニアでは1998年に策定された「ビジョン 2025」(タンザニア開発ビジョン2025)によって、2025年に向けた開発計画が進められ、初等教育の完全普及も目標に掲げられています。初等教育は無償のため、近年の就学率は9割を超えています。STEM教育の領域では「One Laptop Per Child」(子ども一人に1台のラップトップ普及)を目指していますが、実際は設備(PC)の普及が追い付かず、大学に入学して初めてパソコンを使用する学生が多いのも現実とのことでした。

設立や運営に日本人が尽力、さくら女子中学校(Sakura Girls Secondary School)

2016年、タンザニア連合共和国に開校したさくら女子中学校は、理数系教育やリーダー育成に力を入れる学校です。日本との関わりが深く、日本人が学校設立を担い、現在の運営も日本人による一般社団法人と現地のNGO団体が共同であたっています。女子教育の向上、女性の経済的自立、リーダーシップ発揮の推進を掲げ、日本文化の授業や日系企業による出前授業、日本人の訪問受け入れも多く行われている他、日本から教職員やボランティアも派遣されています。アフレルへ特別講演にいらしてくださった(株)ict4eの原代表は、毎年こちらの中学校を訪問し、学校で使用しているパソコンの整備や、ScratchやIchigoJamを使ったワークショップの実施を通して生徒の皆さんと交流されているそうで、2018年にはアフレルスタッフも同行し、一緒にプログラミングのワークショップを実施してきました。

未来の女性リーダーが参加したプログラミング・ワークショップ

2018年10月下旬、アフレルスタッフがSakura Girls Secondary Schoolで、日本では中学2年生、3年生に当たる生徒たちを対象としたプログラミング・ワークショップを実施しました。レゴ® マインドストーム® EV3を持ち込んで、ロボット・プログラミングにチャレンジしてもらいました。将来エンジニアを目指す生徒も居るということで、熱心に取り組む姿と笑顔が印象的な時間となりました。

Sakura Girls Secondary School(さくら女子中学校)の公式WEBサイト「プログラミングの授業」にも動画が掲載されています。

毎年訪問されているict4eの原代表のブログにも登場しています。
今年もタンザニアさくら女子中学校にてプログラミング授業実施!

タンザニアで実感!子どもたちの笑顔は世界共通

初のアフリカ訪問に加えて、現地で英語によるワークショップを実施したアフレルの西尾隆秀は、次のように感想を寄せています。

初のアフリカ視察、初の英語でのワークショップを控えて、準備やコミュニケーションの方法、子どもたちに本当に楽しんでもらえるかなど、不安は尽きませんでした。今回、タンザニアの中学生にロボット・プログラミングを体験する機会を提供できたことは自分にとって大きな経験であり、何より参加してくれた子どもたちの喜んでいる姿や心からの笑顔は強く印象に残っています。日本では子ども向けの体験教室や大人を対象とした研修を何度も経験していますが、海外での実施ということで始めは緊張していました。しかし、実物(ロボット)が初めて動いた瞬間の驚きと感動、自分が作ったプログラムでロボットの動きが変わる様子を目の当たりにした時のはしゃいだ姿は世界共通で、子どもたちの学びに対する意欲や好奇心の強さを実感しました。今回のワークショップがきっかけとなって彼女たちがこれからもプログラミングに関心を持ち、プログラミングで様々なことにトライしていってくれたら嬉しく思います。

参考リンク

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