中小企業担当者にこそ知ってほしい「SDGs」の始め方

2025年の開催が決定した大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。この万博で期待されていることは、約2兆円の経済効果と「SDGsの推進」といわれています。この「SDGs」について2018年に実施されたアンケート(※1)では、日本の経営者における認知度が前年の36%から59%に上昇しています。しかし、日本全体の認知度を見ると14.8%で(※2)、まだまだ普及しているとは言えません。この記事では、前半でSDGsの基本と現状の取り組み状況について触れ、後半で具体的なSDGs取り組み方法を紹介します。

SDGsって何?

2015年9月、ニューヨーク国連本部で国連加盟国193か国のリーダーたちによって「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。そのアジェンダに盛り込まれているのがSDGsです。SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語は「持続可能な開発目標」といいます。2030年までに達成すべき目標として全部で17のゴールが挙げられており、さらにその目標の達成基準を具体化した169のターゲットがあります。内容には気候変動、経済成長や雇用、エネルギー、貧困といった課題が盛り込まれています。

SDGsが採択される前、開発途上国の発展を目標とした「ミレニアム開発目標(MDGs)」という国際目標が策定されていました。開発途上国が抱える課題に取り組み、「歴史上最も成功した貧困撲滅運動」と言われる一方、5歳未満児の死亡率が未だに高いなど達成できなかった目標も数多く残っています。開発途上国で起こる問題を、先進国も含めた全員が「自分ごと」として捉え、「誰一人取り残さない」を理念に生まれたのがSDGsです。

中小企業とSDGs

SDGsとMDGsの大きな違いは積極的な企業の関わりが求められている点です。もともとMDGsは国連の専門家の主導によって策定された国際目標でした。一方、SDGsは政府のみならず民間企業をはじめとする様々な立場の人が積極的に意見し、作られたものです。したがってSDGsの中には民間企業でも取り組みやすい項目が含まれています。

日本におけるSDGsの取り組みについて、特に大手企業に注目するとその割合は急増しています(※3)。一方、中小企業においては取り組み企業がまだ少ないのが現状です。中小企業向けのアンケート(※4)では「SDGsについて対応・アクションを行っている」と答えた企業は1.2%と低く、理由としては「社会的な認知度が高まっていない」「資金の不足」「マンパワーの不足」「何から取り組んでいいかわからない」という声が上がっています。

中小企業の参加を促すために、外務省では「中小企業こそ強みを活かしたSDGs活動ができる」と述べています。その一例として、横浜にある老舗の印刷会社、株式会社大川印刷があります。同社は外務省がSDGs達成に資する優れた取り組みを行っている企業や団体に贈る「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しています。従業員40人の同社は、アイディア出しの際にパートを含む全従業員を対象にSDGsの社内ワークショップを実施しました。それを受けて各自が問題意識を発表し、ボトムアップ型でSDGs経営戦略を策定しました。結果、外資系企業との新規取引が実現される、ユニバーサルデザインの依頼が増加する、社員からの発案で新商品が開発される、アメリカでも事例が紹介される等、会社として更なる成長を遂げています。

具体的に取り組むには?

セミナーやワークショップに参加して関心事を見つけよう

エネルギー問題、気候変動対策、ジェンダー平等など…問題が大きすぎて「SDGsのどんな課題に取り組んだらいいのかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません。SDGs活動には「これが正解」というものはありません。自社が今持っている経営資源や自身が関心のあることをもとに始めてみましょう。おすすめはセミナーやワークショップの活用です。SDGs総研(※5)では定期的にSDGsに関するセミナーが開催されています。経営層、経営企画を対象にしたセミナー、起業を目指している方や各分野の新事業責任者を対象にしたセミナーもあります。一般社団法人イマココラボではカードを使ってゲーム形式でSDGsを学ぶワークショップが開催されています。SDGsを身近に感じられると共に、チームで楽しく学ぶことができます。

SDGs活用ガイドを使って社内で取り組もう

関心の持てるものが見つかったら、実際に社内で取り組んでみましょう。環境省では中小規模の企業・事業者を対象とする「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」を公開しています。この活用ガイドは主に中小規模の企業を対象にしており、いくつかの中小企業の事例とともに取り組み手順が紹介されています。PDCAサイクルにのっとり、具体的にどう進めていけばいいのか項目が用意されており、効率よく進められるようになっています。このガイドで述べられているポイントとして、SDGs活動は大がかりな投資や体制整備が伴う大規模なものである必要はなく、現在持っている経営資源の範囲で実施できる小規模なものから始めることが挙げられています。

その他にも進める上でかかる経費や取り組みを外部へ発信する方法が紹介されています。自社の取り組みを外部にアピールする際に参考になるのは、株式会社電通が出している「SDGsコミュニケーションガイド」です。企業価値向上のための広告コミュニケーションの方法が紹介されており、ポイントや注意点がわかりやすくまとめられています。

コンテストに参加して新事業の企画にトライしよう

社内で新事業のアイディアが生まれたらコンテストに参加してみてはいかがでしょうか?コンテストの一例に、一般社団法人組込みシステム技術協会が主催する「IoTイノベーションチャレンジ」があります。このコンテストはこれからの産業界を牽引できる「IoT人材」の発掘・育成を目的として、IoTを使ったイノベーティブなビジネスの企画・立案に主眼を置いたコンテストです。2019年の課題は「SDGsの17のゴールの中から課題を抽出し、IoTを活用したソリューションを企画する」。一次予選の書類審査を通過し、プレゼンテーション審査を経て決勝に進んだ場合は、各分野で活躍されている審査員の前でプレゼンテーションをし、評価をもらうことができます。

前年のコンテストで最優秀賞に輝いた株式会社電通国際情報サービスのチームKameは育児中の音声を自動的にスマホに記録して、乳児の睡眠、排泄、食事、体調などを見える化した「子育て記録」を作るというものでした。同時に広告料や外部へのビッグデータの提供による利益を生み出すビジネスモデルを考案して、プレゼンテーションを行いました。

IoTイノベーションチャレンジのもう一つの目玉となるのが、第一線で活躍する講師陣によるセミナーやワークショップです。Kameのメンバーはセミナーやワークショップでデザイン思考やシステム思考といった、ビジネスモデルを作っていくうえで必要となる知識を蓄えながら、アイディアを磨いていきました。メンバーは「他流試合することで、多くの気付きがあり、視野が広がった。」と振り返り、同コンテストとセミナーを「若手層にこそ経験してほしい」と語っています。(※6)

まとめ

2025年の大阪万博でもテーマにもなるように、SDGsの取り組みを促進する活動は活発化してきています。しかし、2018年度の日本のSDGs達成度ランキングは前年の11位からランクダウンし、15位(156か国中)となっており、まだまだ取り組む必要がある課題が残されています。今回紹介した情報を参考に、まずはできるSDGs活動から始めてみましょう。

参考リンク

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