コンテスト人材育成

競技課題で体験したチームでのプロジェクト管理とシステム開発の流れ

本記事は、ETロボコン参加チームからの寄稿記事を集約した「ETロボコンに参加しませんか 成功事例集1」(2019/2/13発行)からの転載記事です。今回は関西地区から参加の、京都府立京都高等技術専門校 後藤聡文様による記事を紹介します。

実務を疑似体験できるような実習課題として

京都府立京都高等技術専門校は、職業能力開発促進法に基づき京都府が設置・運営する厚生労働省所管の職業訓練校です。1年もしくは2年の期間で、新規学卒者を含む若年求職者や転職を希望する離職者の方を対象に訓練を行っています。本校では、魅力ある訓練を実施するために、メカトロニクス科の全日本ロボット相撲大会出場や機械加工システム科の全日本製造業コマ大戦出場などの競技大会へ積極的に参加しています。私が担当するシステム設計科では、2013年から2018年までの計6回ETロボコンに参加し、2017年にはデベロッパー部門プライマリークラスで全国優勝することができました。(チーム名:2013年~「ぼちぼちがんばる」、2017年「ぼちぼちぷらす」、2018年「鴨川BugRobot」)

システム設計科では、システムエンジニアやプログラマとして就職するために必要な訓練を実施しています。本校は職業訓練校なので、実務を疑似体験できるような実習課題にしており、ETロボコンもその課題の一つです。ETロボコンの魅力は、上流工程から下流工程までのシステム開発の流れを体験できることです。競技課題も適度な難易度であり、一から全部、自前でシステム開発できる規模です。納期(試走会、モデル提出、大会など)も決まっていますので、その納期に向けて、チームでのプロジェクト管理を実践できる良い機会となっています。また、走行タイムを競う走行競技だけでなく、UML等で記述されたシステムの分析・設計モデルの内容審査も評価対象となることにも魅力を感じています。自分たちのモデルを第三者に評価してもらい、アドバイスをいただく事もできます。さらに大会終了後には、全出場チームのモデルを入手することができます。他チームのモデルと比較検討することで、モデリング能力の向上につながっていると実感しています。

ETロボコンから学んだ事

ETロボコンに参加した訓練生は、モデリングやプログラミングの能力向上だけでなく、他にも多くの学びがありました。一つ目は「コミュニケーションの重要性」です。活動当初は、他のメンバーの確認をとらずに個人の判断で作業することもあり、何度も手戻りが発生していました。タスク管理やプロジェクト管理ツールを使うだけでなく、頻繁にミーティングをすることで情報共有ができるようになり、チーム全員が共通の課題に取り組むことができるようになっていきました。二つ目は「本番を想定したテストの重要性」です。本校に設置しているコースと大会本番のコースでは、照明環境やコースセッティングに微妙な違いがあるため、ロボットが安定走行しないなど、さまざまな不具合が発生します。これらを事前に想定し、何度もテストを繰り返し行ったことで、万全の状態で大会に臨むことができるようになりました。

2017年までは初心者向けのプライマリークラスに参加していましたが、2018年からは上級者向けのアドバンストクラスに参加しています。アドバンストクラスでは、AI(人工知能)などの技術も必要となるため、難易度が高くなります。そこで、プライマリークラスでは地区大会まで6ヶ月間(4月~9月)だった活動期間を、アドバンストクラスでは11ヶ月間(11月~9月)にしています。そのため、先輩から後輩への引き継ぎもできるようになり、学年間での交流もうまくいくようになってきました。また、本校の修了生が、就職先の企業からETロボコンに参加するようになってきました。良きライバルとして、ともに成長できることを期待しています。

参考リンク


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