四国発!自律型ロボコンSMARTに見る学生の成長と18回継続の秘訣

お写真は、左:安野卓教授(徳島大学)、右:釜野勝准教授(阿南工業高等専門学校)

2018年10月28日(日)、徳島市のアスティとくしまにて「四国移動型&自律型ロボットトーナメント(SMART)」が開催されました。2000年に第1回を開催し、現在までに18回を数えるSMART(愛称:スマート)について、大会立ち上げの立役者であり、現在も運営委員会の代表を務める徳島大学 理工学部理工学科の安野卓教授に、SMARTのこれまでとこれからを伺いました。

四国発のロボコン「SMART」の生い立ち

安野教授は学生時代から知的システムの制御を一貫した研究テーマとされているそうで、この数年で急速に広がったAI(Artificial Intelligence人工知能)についても研究自体は昔から続いているとお話されていました。ご自身は電気電子を専門領域とする中、どのような経緯でSMARTが始まったのかお聞きしました。

第1回の「LeGoCon2000」は、2000年当時、コンピュータ関係の雑誌で見つけたレゴ® マインドストーム® Robotics Invention System(RIS)を使ってみたいと、研究室で購入されたことから始まっています。コンピュータを内蔵した黄色い大きなブロック(RCX:あーるしーえっくすと呼ばれていました)とモーター、センサー、ギア(歯車)やカム、プーリーなどたくさんのレゴブロックで、いろいろなものを組み立ててすぐに動かせる点に教材としての面白さを感じたそうです。当時はロボコンと言うとやはり高専ロボコンがよく知られていて、大型のロボット、金属や木材の加工が必須など、非常に難しく初めてチャレンジするには敷居が高かったことから、身近でやってみる機会を作りたいと考え、レゴのキットを使った大会を起ち上げることになったといいます。
四国の大学や高専はその立地から学生にとっては容易に行き来することが難しく、学生らが互いに刺激し合うような関係を求めていたことから、周辺の先生方にも相談し、同じ思いを持つ先生らが集まって自然な形で始めたとのお話でした。

移動型?自律型?SMARTの特徴を知る

SMARTはロボコンに興味・関心を持つ生徒や学生がまずは取り組みを始められるように、市販のロボットキットであるレゴ® マインドストーム®を採用しています。ブロックを自由に組み替えプログラミングすることですぐに動かすことができ、試行錯誤を繰り返してロボット製作に集中できます。統一された競技課題とロボットキットを使うことで、参加する生徒や学生はその条件の中で競技課題をクリアするロボット製作に臨むこととなり、創造力や思考力を最大限に発揮することが求められます。自律型であるため、いったん動き始めたロボットは人の手を介さず、ロボット自身がセンサーの計測値を認識し、判断し、制御して課題攻略に挑みます。毎年新たに準備される競技課題はチャレンジングな内容で、デザイン賞も用意されるため、多彩なロボットが集まり、大会の盛り上げりにもつながっているようです。

SMART2018優勝チーム「あたりや」のロボット
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最難関はコンセプトづくり

ロボコンに限らないですが、と前置きした上で、最も難しく時間がかかるのは何をしたいかを考えるコンセプトづくりだと、安野教授はお話されました。例えばラインをトレースする、競技フィールドの色を読み取るといった技術要素は必要ですが、それよりも自分たちがどんなロボットを作りたいか、何をしたいかを考え、そのためにはどんなことができないといけないか、どうやったらできるかを調べたり考えたりして、出てくる選択肢の中で絞り込んでいくという一連の流れが大切だそうです。視野を広げ、大きなイメージを共有し、コンセプトを固めた上で細部に落としこんでいく方がチームにとって良いロボットができるということでした。

大会そのものの変化が継続を支える

ロボットコンテストとしてのSMARTは2018年で18回の実績があり、レゴ マインドストームを使った大会としては長期に渡って開催されているものの一つです。継続の理由をお尋ねしたところ、SMART自身が変化してきたからではないかとおっしゃっていました。

まずはやってみようという機動力を活かし、失敗を恐れずに立ち上げた大会は、当初、徳島大学の学生に対して参加を呼びかけ、やってみたいと関心を持つ学生が集まって実施されていました。その後、SMARTの開催で蓄えた知見を活用して、徳島大学の授業でもレゴ マインドストームを教材として利用するようになり、ロボットキットそのものを知っている、理解している学生が増えたといいます。その一方、参加校が同じ顔触れというマンネリ感も出てきたため、実行委員会の先生方は新たな学校への声かけを始めます。高専、大学を対象に実施されてきた大会も、工業高校や普通高校のニーズを反映し、第17回大会(SMART2017)からU-18部門を新設、一般部門との二部制となり、新たな参加校が出ています。

また、地元の技術団体である徳島電気技術協会からは、人材育成を目的として機材の貸し出し協力を受けているそうで、協力してくださっている皆さんへの感謝の言葉が聞かれました。

学生の成長

SMARTへの参加を通じて学生には明らかな成長が見られるそうで、具体的に次のポイントが挙がっていました。

  • 何ごとにも前向きに取り組むようになる
  • アクションを起こすのが早くなる
  • 多くのアイディアを出し、考えを突き詰めるようになる

安野教授は、SMARTは彼らにとって通り道で、その後につながる成長のきっかけになってほしいと言われます。実際に、SMARTを経験した学生たちは、地元の保育園や小学校でサイエンス教室を実施したり、出前授業に対応したり、活躍の場を広げていくことも多いそうです。

SMARTの展望

SMARTは、既に2019年の開催に向けた動きが始まっていて、次回は岡山県の津山工業高等専門学校が当番校となり、初めて四国を離れての開催が予定されているそうです。安野教授が中心となって立ち上げたロボコンは、若い世代の先生方で実行委員会(大会開催地が主となって当該年の大会を動かす)が組織され、参加対象を高校から中学へと拡大し、大会自体の変化を続けています。参加者の真摯な様子とロボットに対する強い思いが見ている方の心に響くこのトーナメントは、今後も学生や生徒の目標となるような大会へと成長を続けていくことでしょう。

おわりに

安野教授にSMARTに携わる中でいちばん嬉しかったことは何ですかとお聞きしたところ、「毎年、真剣な学生の姿に感動します。」と力強く答えてくださいました。18回のSMART開催で、最多出場はなんと7回連続がお二人(高専5年+専攻科2年、大学生から博士課程)もいらっしゃるそうです。さらには大会を卒業して教育機関の教員になり、現在は実行委員として活躍している方もあるとのことで、好循環が何より嬉しいとおっしゃっていました。

参考リンク

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