主体性と実践力を備えた人材を教育課程で育成!注目の学習方法PBLを紹介

PBL(Problem Based LearningまたはProject Based Learning)は、日本語で「問題解決型学習」または「課題解決型学習」と呼ばれる学習方法です。「生徒・学生自身による主体的な授業参加」と「特定課題の発見と問題解決へと導く実践知(実践の現場で適切な判断を下すことができる能力)の養成」を主眼においた学習スタイルで、教育関係者からの注目がますます高まっています。そこで、高校の教育課程でPBLを実践して効果を上げている事例を2つ紹介します。

PBL導入のメリット

はじめにPBLについての基本知識と、導入のメリットを見てましょう。

PBLの特徴とは?

PBLを取り入れた授業では、生徒・学生が自主的に問題を発見して、解決に向けて適切な課題設定を行う姿勢が重視されます。教員から知識を与えられるだけではなく、自発的な姿勢で授業に臨むことが求められるのです。例えば、生徒は授業を進行する教員からアドバイスを受けつつ、学校や地域社会で生じている問題を見つけるよう促されます。問題発見後は、具体的な解決策を出すために個人・グループ単位でのディスカッションを重ねるなどして、意見を深化させていくのです。

従来の学習方法の問題点を克服できる可能性

これまで日本では、いわゆる「知識つめこみ型学習」が一般的な学習方法でした。生徒は授業中、教員から一方的に知識を与えられ、主に暗記するように求められます。しかし、「知識つめこみ型学習」には弱点があります。豊富な知識を備えた人材は育成できても、知識を応用して問題を解決する能力を養成することが難しいのです。

グローバル化の進展に伴い、これからの時代は知識量そのものよりも「知識の使い方」が問われる社会になります。そのため、こうした学習方法は国際社会で通用する人材育成に適した方法とはいえません。しかし、この問題は、PBLを導入することで解決できる可能性があります。それはPBLの手法で学ぶことにより、生徒が自ら考えて課題を発見または設定し、解決への道筋を論理的に考える力が養われるからです。

また、ディスカッションを通じて、他人に自分の意見を適切に伝えるコミュニケーション能力も養えます。さらに、学習意欲を向上させる効果も期待できます。

学校外で地域の課題を発見!鹿児島県立伊佐農林高校のPBL

実際にPBLを導入した高校の事例を見ていきましょう。はじめに取り上げるのは、鹿児島県立伊佐農林高校です。

ボランティアを通じた地域との活発な交流

伊佐農林高校では生徒が地域の人々と交流する機会を多く設けています。交流を通して地域の課題を知り、解決策を考えることでPBL学習方法を身につけていることが大きな特徴です。

まず、同校の生徒は全員、校内の農産物販売所で農作物や加工品を売るという販売実習を経験します。加えて生活情報科では、地域の子供たちに郷土料理のつくり方を伝える料理教室を、農林技術科では地元である伊佐市の魅力を伝えるツアーを開催して、地域の人々と頻繁に交流しています。

取り組みは正規のカリキュラムだけではありません。生徒らは、地域貢献活動を目的としたボランティア団体「地域応援団」を立ち上げました。「地域応援団」では、高齢者に代わって草刈りをするほか、伊佐市を盛り上げるためにPRソング『米ふるさと伊佐』を制作するなどの活動を定期的に行っています。

地域貢献する方法を自分たちで考える力を養う

こうした活動で生徒たちは、地域の人々と交流するだけではなく、交流を通じて地域の課題を発見し、解決手段を自分たち自身で考えることを求められます。「地域応援団」などは、まさに生徒たちが地域貢献のために何ができるかを考えた結果、誕生した取り組みなのです。こうした実践を通じて、生徒たちは高いレベルの問題解決能力を身につけています。

システム開発を通じたPBL実践!静岡商業高校のPBL

続いて紹介するのは、静岡商業高校のPBL導入事例です。

打合せを通じたシステム開発

静岡商業高校の電子計算機部では、生徒たち自身に地域で生じる課題をリサーチさせ、システム開発を通して解決に導くというPBLを、部活動のひとつとして取り入れています。

生徒たちは地元の生涯学習センターで、過去に実施した生涯学習事業の記録がデジタル化されていないという問題があることを発見しました。デジタル化されていないため情報検索に時間がかかり過ぎて、センターの円滑な運営が妨げられていたのです。そこで、この問題を解決するには、センターの事業運営に最適なシステムを導入する必要があると考え、システム開発プロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトで、生徒たちは与えられた注文書通りに開発を行ったわけではありません。センターで働く人々の意見を聞き、何度も打合せを重ねたうえで、システム開発の提案書を自ら作成したのです。提案書を作成したことで職員の業務内容や負担について適切に理解することができ、現場で本当に求められているシステムを開発できたのです。

実践力を備えたICT人材が育成可能に

職員との複数回に渡る打合せを経て、生徒たちは問題を明確化するプロセスについて学びました。さらに、クライアントとの間で信頼関係を構築するために必要となる、コミュニケーション能力も養えたのです。また、プロジェクトの途中で外部からSE(システムエンジニア)を招き、プログラミング言語の知識の指導を受けました。得た知識をプロジェクト内で活用することで、知識の応用方法も身につき、将来を担うICT(情報通信技術)人材に必要となる、システム開発の実践力を伸ばせたのです。

まとめ

PBLの導入は、実践的その重要性から各教育機関で今後一層取り入れられていくことが予想されます。あらためて「生徒・学生自身による主体的な授業参加」と「特定課題の発見と問題解決へと導く実践知の養成」ができるPBLの特徴とメリット、および2つの高校での具体的な実践事例を紹介しました。

参考:

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