【授業実践】EV3とリアルタイムOS(EV3RT)を活用した組込みシステム技術教育(名古屋大学)

本記事は、2017/7/16(日)に開催されたRobotics Education Dayの講演レポートに、enPiT2の内容を追記したものです。

  • 「LEGO Mindstorms EV3とリアルタイムOS(EV3RT)を活用した組込みシステム技術教育」
  • 名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属 組込みシステム研究センター 松原豊 助教

EV3RTとは?

オープンソース、高品質で、ロケットのような宇宙機にも搭載されているTOPPERSをベースに開発した、リアルタイムソフトウェアプラットフォームです。起動が速く、メモリ消費量が少ない点が特徴で、CやC++でプログラミングできます。

大学の情報系学部を対象として、EV3を教材に採用

大学の情報系学部を対象として、名古屋大学とアフレルが共同開発している教材で、文部科学省「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成」事業(enPiT2)で使用されています。
レゴ® マインドストーム® EV3を使い、手を動かしてロボット制御プログラムの開発を体験するもので、授業を通じてETロボコン参加に向けた学習も可能です。受講する学生には、荷物を運ぶシステムを課題として、V字モデルに沿ってドキュメントの作成やプログラミング、テストなど、開発工程の全体を体験してもらいます。設計段階ではUMLでモデル図を描き、教員によるレビューを経て、プログラミングやテストへ進んでいきます。

enPiT2とは?

産学協同の教育ネットワーク形成と実践的な教育の普及を目指した、文部科学省による「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT)」事業です。enPiTでは、実践的な能力を伸ばすことを目的として、課題解決型学習を推進するとされています。現在はビッグデータ・AI、セキュリティ、組込みシステム、ビジネスシステムデザインの四つの分野について、全国35の大学がプログラムを提供しています。今回発表されたのは組込みシステム分野である「enPiT Emb」の学部生向けプログラムの実践です。

教材として見るEV3の良さ

プログラミングの経験を持つ学生を対象とする授業でEV3を使う良さとして、次の三つが挙げられています。専用の工具が不要で学習を始めやすいこと、また制御に集中して学びを深められる点を評価されていました。

  • 準備が簡単
  • ドライバー等の器具や配線が不要
  • 制御ソフトウェア開発に集中できる

EV3に求めたい点

良い点がある一方、EV3はハードウェア、ソフトウェアが共にブラックボックスになっており、中身が分からなくてもとりあえず動くになりがちである。デバッグに利用できるのがログのみのため、やってみるしかないといったコメントもありました。

工程全体を体験できる学習素材

業務として組込みシステムやソフトウェア開発に携わる場合、プロジェクトやチームであるシステムを作り上げていくことになり、V字モデルの全てを自身が担当することはなかなかありません。システムエンジニアやデベロッパーとして業務を遂行されている方も、その多くは一部の工程を担当しているがことがほとんどです。技術者としての成長を考えてみると、工程全体を見渡せる目や前後の工程とのつながりを意識できる力が求められます。レゴ® マインドストーム® EV3を用いて制御プログラムの開発を学ぶ本教材は、V字モデルをなぞる形で工程全体を体験できるため、俯瞰する力の獲得につながります。

参考リンク

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