本記事は、2014/3/24公開のマイナビニュースに掲載されたものを転載しています。
LEGO社 副社長に聞く – LEGO社が目指す、これからの学びスタイル
レゴ(R)ブロックは、デンマークで生まれたプラスチック製の組み立てブロックで、全世界において数多くの愛好家を持つ。
レゴブロックによる教育効果は高く評価されており、現在では数多くの教育機関においてレゴブロックを利用した教育教材が取り入れられている。その中でも近年、特に注目されている教育教材が「教育版レゴ マインドストーム」である。
今回は、LEGO Education最高責任者かつLEGO社 副社長である Jacob Kragh氏に話を伺い、レゴが考える教育との関わりと、そして「教育版レゴ マインドストーム」のこれからについて語っていただいた。
LEGO社と教育の関わり
レゴブロックは玩具としてだけではなく、一つの表現ツールとして全世界の数多くの愛好家を持つ。と同時に、遊びを通して子供の想像力を高めるものとして、その教育効果が高く評価されている。そのため「発売当初より、レゴブロックを教材として提供して欲しいとの依頼が数多く寄せられていました」(Jacob Kragh氏)
その要望に応えるため、LEGO社は1980年に教育部門(現在のLEGO Education)を立ち上げた。以来、30年に渡り、LEGO Educationは専門家やパートナーと協力して、世界中の教育者や学習者のために実践的なカリキュラムのリソースを開発してきた。
現在では、LEGO Educationが提供する学習ツールは、幼児向けから大学、更には企業研修向けなど多岐に渡っている。また、子供が「Playful Learning(遊びながら学ぶ)」、「Learning by making(作ることで学ぶ)」を実践する場として、全世界にレゴスクールを設立(日本国内では15カ所)。子供の潜在能力を開発するためのカリキュラムが実践されている。
創造的な問題解決力の育成を目的としたカリキュラムの作成
LEGO Educationが提供する教育、それは「創造的な問題解決力の育成」である。
「まず、目的意識を明確にします。その上で、見て、触れて、考えて、そして実際にやってみる。そうすれば、社会で生きて行くために必要となる、問題解決力を実践的に学ぶことができます。私達LEGO educationは、そのような教育を提供し、そして将来的には全ての学生達が成功するように教育を変革していきたいと考えています」(Jacob Kragh氏)
このような実践的、創造的な学びを実践するために、LEGO Educationは自らが持つ豊富な知識や人脈などのリソースを活用し独自のカリキュラムを開発。学生や教師に対する、様々なトレーニングを提供している。
「より多くの学生達に成功を体験してもらいたい。そのためのカリキュラム開発に、これからも力を注いでいきます」(Jacob Kragh氏)
子供だけでなく大人をも魅了する「教育版レゴ マインドストーム EV3」
「教育版レゴ マインドストーム」は、遊びながらロボット工学が学べる教材として1998年に発売された。近年、若年層を中心にロボット工学に対する知識や興味が高まっていることもあり、そのユーザー数は確実に増えている。
「教育版レゴ マインドストーム」の目的は、子供達がロボットを組み立てたりプログラミングを行ったりして、柔軟な問題解決力や論理的思考力を養うことである。その一方で、その楽しさに魅了された大人の愛好家もかなりいる。そのため、「新型の教育版レゴ マインドストーム EV3では、子供だけではなく、ITに造形が深い大人達にも”WOW”といわせるように工夫を凝らしています」(Jacob Kragh氏)
実践的な教育教材として、全世界で利用される「教育版レゴ マインドストーム」
「教育版レゴ マインドストーム」は、学生達が興味を持ちながら工学やプログラミングなどを学ぶことができる実践的な教材として、教育現場からも高い評価を受けている。現在では、全世界60ヶ国の教育現場に200万台の「教育版レゴ マインドストーム」が導入され、小学生の理科や算数の学習、中学・高校生の情報・プログラミング教育、さらには大学の工学部や企業エンジニアにおける開発プロトタイプとしての活用など、様々な学びのシーンで利用されている。
またマインドストームを使った学習の成果発表の場としてのロボットコンテストの開催も盛んだ。その中でも、全世界40カ国5万人以上が参加する小中高校生向けのWRO(World Robot Olympiad)や全国350チーム以上が参戦する大学生や企業エンジニア向けのETロボコンなどが有名だ。
教育版レゴ マインドストームが目指す先にあるもの
「新型の教育版レゴ マインドストーム EV3なら、友達を遊ぶ時に感じる”もっとやりたい”というワクワク感を持ちながら、学びを身につけることができます。そしてそれは、学ぶ学生達だけではなく、教える先生達も、楽しく夢中になって取り組んでもらえるものだと自信を持っています」(Jacob Kragh氏)
新型の教育版レゴ マインドストーム EV3を使った学びは、答えを見付けることが目的ではない。「答えを見付けるために、試行錯誤を何度も繰り返す。その過程で見付かるもの、全てが学びにつながるのです」(Jacob Kragh氏)
LEGO Education では、遊んでいる時の想像力が、より学習効果を高めるものだと考えている。新型の教育版レゴ マインドストーム EV3を使った教育には、様々なスタイルがある。通常の授業のように、教師が講義形式にレクチャーする方法もあれば、課題を与えワークショップのような形式で考えさせる方法もある。
「今後も私達は、現場で実際に生徒に対して教える立場である、先生達ともっとコミュニケーションを増やしていく必要があります。そして、現場の先生達に向けて、より多くの情報を提供していきたい。例えば、新型の教育版レゴ マインドストーム EV3を使った教育事例などのように、現場の先生型の役に立つ情報を提供していく。それによって教育現場に貢献する事ができれば、私達にとって非常に喜ばしいこととなるでしょう」(Jacob Kragh氏)