専門学校においてレゴ? マインドストーム? EV3を活用した授業を実践されている先生方にお話を伺いました。(ご所属等はお話を伺った当時の内容です)
日本工学院専門学校 ITカレッジ
授業改革~可能性を広げるEV3~
EV3を導入したことはゴールではありません。
学びの拡大、今ないものを作る、その可能性を感じさせる教材としてEV3は非常に良い教材です。学生たちには今の環境に依存しないで、新しいものをどんどん作ってほしいです。そのためには教員である私たちも負けずに、新しいものを作り出していかなければいけませんね。
導入のきっかけ
昨今、IT技術が非常に重要視されています。ソフト開発というとコンピューターの画面中でプログラミングをし、動作検証する、といった教育スタイルが世の中には多いです。
しかし、それでは学生の興味や意欲が持続しないのでは、と考え「体験型・興味向上学習環境の整備」と名付け教育スタイルの変革を行っています。
その方法のひとつがレゴマインドストームEV3の導入です。
現実の世界で、作ったプログラムの結果をEV3の動作で確認できる。周りの学生どうしで、その結果を共有することでコミュニケーションを活性化できる。なおかつセンシング技術・モバイル技術・クラウド技術といったITの教育にマッチしているということがEV3導入の決め手です。
導入のねらい
現在のプログラミング教育のやり方は、既にあるもの(パソコン)を使用する事に依存しています。しかし、要はキーボードもタッチセンサーの集まりであると考えれば、EV3のセンサーやモーターを併せた学習が可能だと考えています。
EV3はあくまでパーツです。組み合わせ方によってはいろんなモデルを作れますし、無線接続が可能なのでモバイル性もあります。またクラウド連携も可能です。これは、日本工学院ITカレッジが目指すIT教育にとてもマッチしています。
日本工学院専門学校は「技術者育成」の学校です。技術者というのは、「何かをつくりだし実現できる者」であり、それは机上の学習だけではいけません。
学生たちには、みんなで話し合って、失敗して、その経験のなかで何かを作ったという成果を体感してもらいたいと思っています。
学生の反応
授業は教員と学生が作るものです。教員がどんなにがんばっても学生が参加していなければ意味はありません。私たち教員は毎回授業内容を一生懸命考えて授業に臨みます。その中で学生たちの集中を切らさないためにネタを仕込んだりもするわけですが、授業中、学生が自分達で意見交換をしている姿や、 工夫して授業に取り組んでいる姿を見たとき、成長を感じることができます。
プログラムをこちらの意図と違う方法で作ったり、組立図と違ったロボットを作ったりして、「こんな作り方もあるよね」とみんなで話す光景は、EV3を使うことで自然に増えていきました。
東北電子専門学校
組込み教育で東北を盛り上げる
導入のきっかけ
文部科学省委託事業「東日本大震災からの復興を担う専門人材育成支援事業」として県内の工業高校で講習会を行っています。若い世代に「組み込み」というものに興味を持ってほしいと思い、この活動が始まりました。今年で5年目になり、県内延べ1500人もの高校生が私の授業を受けたことになります。
現在「組み込み人口の減少」が問題視されていますが、実際私に何ができるかと考えたとき、この活動を始めようと思い立ちました。
活動内容
東北の高校である、聖光学院高等学校 情報電子科1年生の生徒、約30名に対し、EV3を使ったプログラミングを教えています。ライントレースを行うといった課題です。
聖光学院高等学校さんは、先生方が非常に熱心にEV3を使ったプログラミング授業を行ってくれています。昨年、こちらでプログラミングの基礎講座を1回開催しました。その後、聖光学院高校さんから「アフレルスプリングカップに出たいから教えてほしい」と言っていただき、東北電子専門学校まで来て下さった事もありました。教育版レゴ?マインドストーム?を使い始めてから、このように各学校とのつながりを創ることができました。
実際に高校の現場の先生方と直接お話しすることも増え、専門学校がどういったものかを正しく理解していただけるようになり、非常に嬉しいですね。この活動をやっていてよかったと思います。また、教育版レゴ?マインドストーム?は県内の高校だけでなく県を超えた繋がり、学年や年齢の枠を越え、上と下の世代を繋げる役割を持っています。
学生の反応
そもそも、組み込みや難しい言語の話をしても、学生たちは全然興味を持ってくれないんです。女の子は特に。しかし、EV3だと生徒の反応が全然違いますね。やっぱり、目の前でロボットが自分のプログラム通りに動くと、みんな興奮していますし、喜んでくれます。
今後は、宮城県内でロボコンを開催したいと思っています。通常ロボコンと聞くと敷居が高く感じられますが、レゴのロボコンと聞くと敷居が下がり、参加しやすくなります。今後もっともっと組み込み人口を増やしていきたいです。