コンテストロボット活用事例

【活用事例】国際ロボコンWROチャレンジで高まる自信と目的意識

本記事は、2016年1月27日発行のアフレル通信 号外(オレンジタイム)の内容を編集・追記したものです。(所属は発行当時の内容)

WRO 2015 ドーハ国際大会における銅メダル獲得

2015年秋、中東カタールの首都ドーハで開催されたWRO(World Robot Olympiad)2015国際大会において、福岡舞鶴高等学校 情報技術部の「Ninja」が銅メダル(3位)を受賞しました。出場した「エキスパート競技 高校生部門」において、素晴らしい成績へ導いたコーチである武田先生にインタビューしました。

ロボットをやりたい、生徒の気持ちが参加のきっかけ

以前は、情報処理に関連する検定試験合格を目指す同好会でしたが、8年前の夏、一人の生徒がロボットをやりたいと言い出しました。普通高校である本校では金属加工などの機材はないため、それでもできるようなロボットがあれば探してきなさいと言ったところ、マインドストーム?やWROの資料を山のようにプリントアウトしてきました。これなら普通高校でもできる、しかも国際大会まであるということが参加のきっかけです。翌年7月に初めてWRO地区大会に挑戦して以来、毎年WROに参加しています。2015年で8年連続8回目の参加となりました。(※福岡舞鶴高等学校 情報技術部は、WRO Japan 2017 九州山口地区大会、高校生レギュラーカテゴリー エキスパート部門において優勝し、WRO Japan 2017決勝大会に進んでいます。)

教えるより、生徒と一緒に考える指導

ロボットを組み立てる指導やプログラミングの指導は、ほとんどしていません。恥ずかしながら私自身がマインドストーム?を使ってロボットを組み立てたこと、専用ソフトウェアを使用してプログラミングをしたことがないからです。ただ、私は工学部の出身で数学の教師ですから、有用な情報を紹介したり、機構やアルゴリズムを生徒と一緒に考えてヒントを出したりといったことはしています。

WROの特徴はサプライズルールにありますので、自ら考え答えを出す問題解決力が重要です。そのためには、必要以上に教えないことがいいのかもしれません。ですから、実際の機構作りやプログラミングは、様々な情報媒体から自分たちで学ぶ、先輩が後輩を指導するというスタイルで行っています。もちろん、私がコーチとして大会に参加して得た経験は生徒にフィードバックしています。

生徒たちがWROから得た学びとは

文科系の部活動を行っている生徒らにとって、試合(大会)に参加できるチャンスは多くありません。ですから、WROに参加するということは、とても貴重な経験になります。課題をクリアするためには、トライアンドエラーの繰り返しですので、忍耐力や精神力がついていきます。そして、自分の思い通りに動いた時の達成感はたまりません。

また、WROはチームで参加することが求められていますので、チームワークやリーダーシップなど人間関係における様々な要素を高める効果があると考えます。さらに、英語や数学といった教科の学習にも影響を及ぼします。例えば、課題は毎年1月に発表されますが、英語版しかありません。英語の必要性を感じ、それを勉強するきっかけとなります。ライントレースのプログラムを作るときには、PID制御を利用していますが、DおよびI制御で微分積分の概念が習得でき、数学を学ぶ目的が分かります。

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部活動を通じた意識の変化と自信

今回は幸運にも国際大会で銅メダルという過去最高の結果を残せましたが、地区大会で敗退することもあります。部活動に所属する生徒は毎年変わりますので、WROに参加し始めた頃と最近とを比べて大きな能力差があるとは思っていません。ただ、確実に変わったことがあります。それは、頑張れば自分たちでも決勝大会や国際大会にいけるんだという自信と、そこを目指して活動しているのだという目的意識です。

WRO(World Robot Olympiad)とは

WRO(World Robot Olympiad)は、世界の60を超える国と地域から参加チームが集まる国際的なロボットコンテストで、小学生から大学生までの子どもたち(児童、生徒、学生)が参加します。ロボットを組み立てプログラムで制御する自律型ロボットによる競技が行われます。日本からは、WRO Japan公認地区予選会、WRO Japan決勝大会を経て日本代表に選抜されたチームが、国際大会へ出場します。

参考

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