世界が取り組むSDGs、社会課題解決に挑む中高生の体験学習を紹介

2015年9月、国際連合は全世界で取り組むべき目標として「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択しました。2030年までの達成を目指し、各国で多様な取り組みが進んでいます。日本でも民間や産官学、教育現場等の幅広い分野での動きが広がっています。

今回は、これからの未来をつくる生徒たちが集う学校教育に焦点を絞り、実際に中学校・高等学校の授業や課外活動で取り組まれているSDGsの事例をご紹介します。

SDGsって何? 日本の進捗状況は?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」(※1)の略称であり、日本語訳では「持続可能な開発目標」という意味です。これは、全世界で2016年から2030年までに達成する国際目標として2015年9月の国連総会にて全会一致で採択されました。地球上の誰一人として取り残さない持続可能な世界を実現するために、教育やジェンダー、不平等、生産・消費、海洋資源など17の目標・169のターゲットが定められています。

SDGsは全世界の一人一人が取り組むべき目標であり、日本も積極的な取り組みが求められています。しかし、Sustainable Development Solutions Networkが発表した「SDG INDEX AND DASHBOARDS REPORT 2018」によると、日本は156か国中15位の達成度で、2017年の11位から順位を落とす結果でした。特に、目標5(ジェンダー)、12(生産・消費)、14(海洋資源)、15(陸上資源)、17(実施手段)の五つは実績が低いといわれています。

このような現状を踏まえて、民間や産官学など各分野で主体性を持った取り組みがさらに求められており、この動きは学校教育にも広がっています。今回は、実際に授業や課外活動として学校教育現場で取り組まれている事例を四つご紹介します。授業や課外活動を組み立てる際に、参考資料としてお役立てください。

【SDGs×地域×女子】山陽女子中学校・高等学校 地歴部

一つ目は、岡山県岡山市にある山陽女子中学校・高等学校の地歴部が取り組む、瀬戸内海における海洋汚染に関する活動です。彼女たちは、プラスチックゴミや直径5㎜以下のマイクロプラスチック等の海洋汚染にいち早く着目し、地元漁師と協働で海ゴミを回収・分析しています。また、回収・分析以外にも海ゴミ問題の解決に向けて、ゴミの発生量を減少させるために、海ゴミの起源地である内陸部や沿岸地域にて啓発活動に励んでいます。

さらに、生徒たちはこの活動を部活動内で留めることなく住民・行政・NPOと連携することで、地域を巻き込んだ取り組みに発展させています。彼女たちの活動は、政府主催の「第2回ジャパンSDGsアワード」において評価され、SDGsパートナーシップ賞(特別賞)を受賞しました。

【SDGs×国際×高大連携】立命館守山高等学校

二つ目は、立命館守山高等学校3年グローバルクラス「コミュニケーション英語Ⅲ」、高校2年総合学習「グローバルスタディーズ」内での事例です。この取り組みは、高大連携企画として、授業に立命館アジア太平洋大学(APU)から国際学生(留学生)を招待し、協働で行われました。
その中の主要な活動として、SDGs Innovation Challengeがあります。生徒たちは、APU留学生4名の出身国(ベトナム、中国、韓国)が持つSDGsに関連する諸問題とその解決策を提案しました。目標8「働きがいも経済成長も」に関連して就職問題や目標11「住み続けられるまちづくりを」に関連して都市問題など、テーマは広範囲にわたりました。
生徒たちはAPU留学生向けのプレゼンテーションや内容に関するディスカッションを通して、自分たちでは気づくことのなかった新たな視点を得ることができました。また、問題を自分ごととして捉え、「自分はいかに貢献できるか」を具体的に考えるという、一歩踏み込んだ考え方ができるようになったそうです。

【SDGs×英語×ICT】晃華学園中学校高等学校

三つ目は、晃華学園中学校高等学校の取り組みです。ここでは、中学3年生の公民にて「国際」をテーマに、国連やSDGsに関するアクティブ・ラーニング型授業を積極的に行っています。その集大成として、英語科・ICT・社会科(公民)が共同でSDGsを題材とした映像制作を実施しました。これは、中学校で学習してきた多様な知識や経験等を一つの作品に織り込み、発信していくことを目的としています。

具体的には、グループごとに「第1回SDGsクリエイティブアワード」が定めた6つのSDGsの目標から一つを選択し、約60秒の映像を完成させます。生徒がiPad一つで企画から撮影・録音・編集まで行い、英語で字幕やナレーションをつけ映像を制作しました。これらの作品は学校主催の「第1回KOKA×SDGs 国際映像コンテスト」で上映されました。さらに、その中の一作品は札幌市開催の「第1回SDGs クリエイティブアワード」にてJICA特別賞を受賞しました。

【SDGs×ロボット×英語】追手門学院大手前中・高等学校 ロボットサイエンス部

四つ目は、追手門学院大手前中・高等学校のロボットサイエンス部です。生徒たちは部活動として国内外の様々なロボットコンテストに参加しています。その一つに、60以上の国や地域から24,000チームが参加する世界最大級の学生ロボットコンテスト「WRO(World Robot Olympiad)」があります。

生徒たちは、社会問題を解決するロボットの制作と発表を課題とするオープンカテゴリーに参加しました。2018年は、「FOODMATTERS(食糧問題)」のテーマについて、ロボット制作やポスター等の展示物、審査員向けに実演・英語でのプレゼンテーションに取り組みました。ロボットサイエンス部はWRO国際大会常連校であり数々の優れた成績を収めていますが、2018年も日本大会の中学部門で最優秀賞・高校部門で優秀賞を受賞し、国際大会では、中学・高校の両チームいずれも5位入賞を果たしています。

まとめ

SDGsの各目標を実現できるように、民間企業や自治体など多方面での活動が見受けられます。学校という、これからの未来を担う子ども達がいる学校教育でも様々な活動に励んでいます。

SDGsに対する取り組み方や学習方法は沢山あります。今回ご紹介した事例のように、授業や課外活動での体験学習を通し社会課題に向き合うことで、生徒たちが自主性をもって取り組み、外部と連携し「自分にできることは何か」を考えながら行動できるようになるのではないでしょうか。

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