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【新連載】対立軸から考えるエンジニアのキャリア

新連載スタート。
この連載では、未来をつくるエンジニアの皆さんへ、エンジニアに関係する対立軸から「トレンド」や「本質」を考えていただく機会を提供したくスタートします。これからの連載記事をお楽しみください。

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コロナ禍は落ち着いてきましたが、地球温暖化は地球沸騰時代という表現にアップグレードされ、紛争など世界情勢や、物価高騰など経済の先行きが不安になる昨今です。

エンジニアを取り巻く環境も、生成系AIの爆発的な成長や利用拡大、あらゆる業界へのDX導入推進、先端半導体の国内生産拡大など、明るい話題のようで実は暗い影響を及ぼす可能性もある話題です。AIはフェイク情報の拡散や人間がコントロールできなくなることへの懸念となり、DXはコンピュータを導入すればいいだけの風潮も見受けられます。半導体の国内生産も、本当の先端的先進的なレベルでの半導体を生産できるのか疑問視されています。

地政学の話題もIT系の話題も、エンジニアの将来を考える上で全く関係ない話ではなく、遠かれ近かれ影響がある話です。世界規模の地政学的な話題も存在しますが、それぞれの正義が存在しており白黒つけられないのが現実として存在します。AIやDXに関しても、メリットがある一方で、リスクやデメリットなどマイナス効果があることは、エンジニアとしては避けては通れません。

社会は対立軸が大好きです。比べる対象を設定することで、わかりやすさが増すからかもしれません。

「対立軸」という、比べることで見えるもの

このコラムでは、エンジニアに関係する対立軸を取り上げ対比することで、「トレンド」や「本質」を考える機会をつくりたいと思います。例えば、クラウドを使いシステムを構築するか、オンプレでサービスを構築するかを考えるのと同じで、それぞれの特徴を考え、案件の要求とマッチする方式を選択することと同じです。このように2つの対立軸を取り上げ考えることは、エンジニアにとってトレンドや本質を考えるのに適していると思います。

表を用いて比較評価し「本質」と「トレンド」を理解する

本質を理解する必要性は説明不要と思いますが、トレンドの理解はエンジニアには必要でしょう。テクノロジーも働き方も時代と共に変化し、エンジニアの使うツール、プログラムが動く条件、エンジニアが働く条件や環境が変わってきます。と言う事で、エンジニアにとってキャリアを構築するうえで、トレンドを意識することは必要不可欠なのです。その時に活用をお勧めするのが「比較表」をつくり、それぞれの良し悪しや強み弱みを可視化していくことです。

<図:表を使い比較評価し考える>

AとBを比較する際に、各種条件で比較評価します。条件に対して○×や点数などを設定し、条件に対する優先度や重み付けを考慮し、AとBの比較評価をします。この各種条件の設定が「本質」であり「トレンド」となり、優先度や重み付けが「本質」や「トレンド」によって左右されます。例えば、働き方改革であれば、A社とB社を評価する際に、週休3日制導入や育休手当のパーセンテージ、リモートワーク可否などが○×などで評価できます。これらは「トレンド」として考えられます。それでは「本質」は何なのでしょうか。私は働き方に関する専門家では無いので間違えている可能性はありますが、多様な働き方を選択できることが「本質」と思います。その具体的な取り組みが、以前からある専門職制度であったり残業規制や有給取得率向上であり、「トレンド」として週休3日やリモートワーク、そして副業解禁だと考えられます。

エンジニアに関係する対立軸から見えるもの

これからの連載では、エンジニアが日々の仕事や生活で関係する対立軸をピックアップし、これからのエンジニアのキャリア構築を考える際の参考になるネタを提供できれば考えています。

例えば、働き方に関しては「大企業 vs 中小企業(スタートアップ)」、「キャリアアンカー vs 偶キャリ」、「会社員 vs フリーランス」などを予定しています。また、開発に関しては「ものづくり vs サービス」、「アジャイル vs ウォーターフォール」、「ブラックボックス vs ホワイトボックス」など考えています。

エンジニアの方はもちろん、エンジニアをサポートするマネージャや支援部門の方々にも読んでいただき、参考にしていただくだけでなく異論反論など考えて欲しいと思います。この「この考え方は違う」「他にもこういう考え方がある」などを考えることは、エンジニアの思考の多様性を高め、自身の価値観を認知することにつながると考えます。思考の多様性は、エンジニアのコミュニケーションスキルを高めます。自身の価値観を認知することは、キャリアを形成するコアを具体化にすることになります。これはキャリアアンカーとも呼ばれています。

次回はキャリア構築を考えるうえで重要な「キャリアアンカー vs 偶キャリ」を紹介し、次回以降の対立軸から考えるキャリアの理解を支援したいと思います。

 

著者

渡辺のぼる

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電機メーカー開発子会社にて通信システムの開発に従事。ソフトウェア開発の改善と人材育成に取り組み、情報処理推進機構に研究員として出向。株式会社アフレルにて、ロボコンや研修の企画開発に従事後、2016年に独立・起業。株式会社 for Our Kids / 合同会社ワタナベ技研 代表、NPO法人 組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会 理事、筑波大学大学院  非常勤講師(2005~2017)、J07大学情報処理学部向け標準カリキュラム CE検討委員

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