ロボット・プログラミング演習とその評価ポイントについて

近年、プログラミングの演習にロボットを活用することが多くなっています。ロボットを活用したプログラミング演習は、従来の方式にはない特徴があります。本記事では、ロボット・プログラミング演習についての特徴とその評価方法について紹介します。

従来のプログラミング演習に足りなかったこと

主に情報処理系の学科で行われている従来のプログラミング演習は、パソコン上で課題に即したソースコードを作成するというものです。この方法では学習時間の大部分が、制御文の書き方といったプログラミング言語の文法の習得に費やされてしまいます。

従来の学習法では、プログラミング言語の文法の習得は達成可能です。しかし、実際にソースコードを用いて特定の問題を解決する「問題解決能力」としてのプログラミング・スキルを養成する時間が不足していました。

ロボット・プログラミング演習の特長

ロボット・プログラミングには従来のプログラミング演習とは異なる次の特長があります。

アルゴリズムを直観的に理解できる

従来のプログラミング演習では、数値の変化や記号の表示を確認することで、アルゴリズムの動作確認をします。しかしこの方法は、学生によっては直観的に理解しづらい、また関心を持続させることも困難でした。対してロボット・プログラミングでは、アルゴリズムの確認を実際のロボットの動作で確認できるのです。

アルゴリズムに欠陥がある場合、ロボットは期待通りに動かないので、文字通り直観的に理解できます。また、期待通りに動いた場合は達成感が得られ、学習者の意欲向上にもつながります。

演習が課題解決型である

従来のプログラミング演習では、プログラミング言語の文法の習得に多くの労力が費やされ、プログラミングを通して課題を解決する、真の意味でのプログラミング・スキルを訓練する時間が不足していました。

一方、ロボット・プログラミングでは「課題を解決するロボットを設計通りに動かす」という課題解決が学習の中心となります。ロボット・プログラミングは、教育方法として注目されているPBL(Project Based Learning、またはProblem Based Learning)と同じ手法なのです。

PBLとは、学習者が主体的に課題に取り組むことを通して、問題を解決する知識とノウハウを学ぶ教育法です。特徴としては、学習過程が学習者自身の「主体的体験」になることが挙げられます。「主体的体験」ができるPBLを受講することで、学習者は「問題解決能力」を身につけられるのです。さらに、自ら考えて解決策を導き出すことで、大きな達成感も得られます。

ロボット・プログラミング演習における評価ポイント

ロボット・プログラミング演習を実施する際には、プログラミング言語の文法の習得を目的とした従来のプログラミング演習とは異なる評価方法が求められます。その評価ポイントは次の通りです。

課題解決力

例えば「コース上を走るクルマ型ロボットをつくる」という課題を実施した場合、最低限の解決課題として「ロボットがコースを完走する」ことが求められます。しかし、アルゴリズムや使用した部品によっては、完走に要する時間も変わるでしょう。

つまり、課題を解決しても常に改善の余地が残ります。そのため、課題の解決に対する評価は段階的に行うことが必要です。

応用力

前述の課題に「コース上にある障害物を検知したら停止する」という変更を加え、新たな課題として取り組ませることも可能です。課題に変更・追加事項を加えて再度試行させてみることで、学習者のアルゴリズムの理解度と応用力を評価できます。

設計力

ロボットはカタチのあるモノなので、つくり手によって形状が異なってきます。そのため、ロボットをプログラミング教材として採用すると、プログラミング能力の養成だけでなく、モノの形状設計についても学ぶことができます。ロボットの形状設計を評価する場合、部品を簡単に交換できるといった「ユーザーの扱いやすさ」などが評価項目として考えられます。

ロボット・プログラミングを通して「モノづくり」のスキルを育成するという観点に立てば、このようなプロダクトの外見上の設計も評価項目に入れるべきでしょう。

ロボット・プログラミング演習の評価を適切に行えば問題解決能力を養える

ロボット・プログラミング演習は、理解する過程が直観的であること、および演習が「問題解決型」中心になるという特徴があります。こうした特徴を理解した上で、受講する学生に対して適切な評価を行えば、学生の「問題解決能力」を育成することが可能です。演習で養われる「問題解決能力」は受講者らが社会人になったときに役立つに違いありません。

参考:

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