日本では、2020年のプログラミング教育必修化への注目が続いていますが、世界ではプログラミングはもちろん、STEM(Science, Technology, Engineering, Math)と呼ばれる理工系の学びに大きな関心が集まっています。
国際的なロボットコンテストであるWRO(World Robot Olympiad)にて、各国のSTEM教育の実状をインタビューでお聞きしました。国によって違いはありますが、STEM教育への積極的な姿勢は共通しており、世界的な流れであることがよく分かります。
ギリシャ
WRO2015ドーハ国際大会
ギリシャ代表チーム コーチ
ギリシャの小中学校の先生にお話を伺いました。ギリシャでは、小学1年生(6歳)からプログラミングやSTEM教育がスタートし、レゴ社の教材が使われているそうです。2年生と3年生のクラスでは、ロボットを組み立て、プログラミングして動かすロボティクスの授業が実施されるとのこと。
ロボティクスやプログラミングを学ぶことで、問題が起きた時に自ら解決策を見つけ出す力がつく点が良いとのお話です。(make a senario first, then research about problem….といった内容が聞こえますね)プログラミングは数学や物理学など様々な学びが関係し、情報を集めそれを活用することでロボットを制御できるわけですね。
マレーシア
WRO2016国際チェアマン
ロウさん
2015年当時、マレーシアはSTEM教育へのシフトが進んでいて、ロボティクスにはそれほど力を入れていなかったそうです。2005年以前からSTEM教育に関する情報展開が始まったとのお話ですが、その一方で、2015年の段階で小学校教育としてはプログラミングを実施していないとおっしゃっています。
子どもたちがプログラミングやロボティクスを学ぶ良さについては、個人的な見解と前置きした上で、複雑なものを明らかにする手助けをしてくれるとお話してくださいました。
WRO2015国際大会の後、マレーシアでは「ROBOT DAYS」というイベントが開催され、元首相のマハティール氏がプログラミング教育への取り組みに力を入れていることが知られています。
スペイン
WRO2015ドーハ国際大会
スペイン代表チームコーチ ガブリエル・コールデムさん
マレーシアと同様、スペインでも2015年時点では学校の教育課程にプログラミングは含まれておらず、公立学校には科目がないそうですが、だいたい12~14歳で学び始めると言われています。今後、正式な教育プログラムになり公立学校でも科目ができれば、より多くの子どもたちがロボティクスやプログラミングに触れ学ぶきっかけになるだろうと話してくださいました。
WRO国際大会
WRO(World Robot Olympiad)は、世界60を超える国と地域から参加チームが集まる国際的なロボットコンテストで、小学生から大学生までの子どもたち(児童、生徒、学生)が参加します。ロボットを組み立てプログラムで制御する自律型ロボットによる競技が行われます。国際大会は、そこに集結する各国代表チームのコーチや関係者、国際委員らとの情報交換やインタビューを通して、世界のSTEM教育について知ることのできる貴重な機会です。
参考リンク
- WRO Japan
- WRO 2017 Costa Rica(2017年の国際大会はコスタリカで開催)