少子化による人口減少に歯止めをかけるため、大都市への人口集中を是正する地方創生が日本にとって重要な課題となっています。そのときに必要で重要なのは地方創生の原動力となる人材です。そこで、地方創生に貢献できる人材とはどのような人材か、またそうした人材を育成するにあたって教育機関や企業が意識すべき点は何かについて考えてみました。
なぜ今地方創生が必要なのか? 地方に迫る重要な課題とは!
東日本大震災からの復興を目指して発足した「日本創成会議」が、2014年に少子化による人口減少で2040年までに全国の約1800市町村のうち半数に近い896市町村が消滅するおそれがあると発表して話題になりました。日本創成会議の推計では、東北地方などで8割以上の市町村が消滅するかもしれないと予測される県もあります。日本が先進国として経済発展を維持するためには、少なくとも人口減少に歯止めをかけることが必要です。そして、現実問題として都市部の出生率が低いことから子育てに不便な都市部、特に東京への一極集中を食い止めるための地方都市の活性化を図る必要があります。
日本政府の地方創生を担う人材育成の取り組み
こうした地方の重要な課題に対して日本政府は、地方創生を担う人材育成として次のような取り組みを行っています。
地方創生人材支援制度
内閣府の地方創生推進事務局の「まち・ひと・しごと創生本部」が支援する制度で、人口5万人以下の地方創生に取り組む市町村に、国家公務員や学識者、民間の人材を市町村長の補佐役として政府が派遣しています。
地方創生カレッジ事業
これも内閣府の地方創生推進事務局が、公益財団法人日本生産性本部を補助事業者として行っているもので、eラーニングや実地研修により、地方創生のための知識やスキルを習得するさまざまな講座を提供しています。
コミュニティスクール(学校運営協議会制度)
文部科学省が推進する制度で、公立学校の運営に保護者や地元の住民が参加することで、学校と地域が一体となってまちづくりに取り組むもので、2017年度4月現在で3600校が指定されています。
地方創生を成し遂げる人材に必要な3つの条件とは
では具体的に地方創生のためには、どのような人材が必要なのでしょうか。地方創生のためには「まちづくりをプロデュースできる人材」が要求されます。具体的には以下の条件を備えた人材となるでしょう。
1.
新しいものを生み出すクリエイティブな人材
まちづくりには、これまで気がつかなかった地域の特性に目を向けて新しい事業につなげられるイノベーション創出能力が必要です。
2.
さまざまなアイデアやプロジェクトを指揮するプロジェクトマネジメント能力がある人材
地方創生は一人の力ではできません。チームを組んでプロジェクトを遂行する必要があります。このため、リーダーシップとコミュニケーション能力があり、プロジェクトマネジメント能力を備えた人材が必要です
3.
地方の国際競争力を高めるためのグローバル人材
グローバル化の時代では、地方で創出された事業でもグローバルに展開できることも必要です。そのためには抵抗なく海外と折衝できる能力のある人材が必要です。
地方創生人材育成への企業や教育機関の果たすべき役割
地方創生を成し遂げる人材を育成するさまざまな取り組みが政府主導で行われていますが、民間企業や教育機関が果たすべき役割も重要です。教育機関は人材を育成し、企業は地方創生がしやすい環境づくりをサポートすることがそれぞれの果たすべき役割ですが、以下の方向性を意識する必要があります。
教育機関の役割と方向性
- 地域の問題解決につなげる人材を育成するため、課題解決型の実習演習を取り入れた教育を行う。
- マニュアル通りではなく自らクリエイティブに行動できるように、小中学校などの早い時期からアクティブラーニングを導入する。
企業の役割と方向性
- 地方創生に取り組む市町村を援助することでビジネスチャンスを探る。
- 地方の多様性を活用した事業の創出に目を向ける。
- イノベーションに対してインセンティブを与えることで、イノベーションを奨励する。
教育機関と企業による地方創生の具体的な事例
教育機関や企業が行っている地方創生の事例として、千葉県長生郡一宮町と富士通株式会社による、ICT環境を利用した小学校でのロボットプログラミング授業があります。これにより住民の定住化を図るだけでなく他地域からの移住増加にもつなげるという取り組みが行われています。
また、島根県松江市では、他のプログラミング言語よりもわかりやすい言語の「Ruby」を教える環境を用意して中学生に教育。これを契機に優秀なITエンジニアが育つことで企業に注目され、企業の誘致がしやすくなり雇用が生まれることを目指しています。
地方創生に不可欠なヒトづくり
日本が経済大国であり続けるために必要な地方創生の原動力となるのは人材です。しかし地方創生に貢献する人材は一朝一夕には育成できません。地方創生のためには、小中学校などの早い段階から創造性があり課題を解決できる自主的な人材の教育が必要であり、地方のビジネスをサポートする企業の協力も必要です。また持続可能な地方創生のためには、地方創生の取り組みを地域の住民自身が継続して実施していける教育と環境も必要です。
参考:
- コミュニティ・スクール2016|文部科学省
- 地方創生カレッジ
- 地方創生人材支援制度|まち・ひと・しごと創生本部
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