STEAM教育人材育成

これからの女子に必要なスキルと価値観とは?「KIKKAKE(きっかけ)~ガールズプログラミングフェス~」イベントレポート

2021年6月1日~6月30日の1か月間、株式会社アフレルとGMOメディア株式会社が運営するプログラミング教育ポータルサイト「コエテコ byGMO」共催で、「KIKKAKE(きっかけ)~ガールズプログラミングフェス~(以下、KIKKAKE)」が開催されました。本記事では、6月3日に保護者向けイベントとして開催された一般社団法人Waffleの田中沙弥果氏のセミナーについてレポートします。

KIKKAKE(きっかけ)~ガールズプログラミングフェス~

KIKKAKEは、女の子のプログラミング教育参画を促すための女の子のためのプログラミングイベント※1です。プログラミング教育市場は2025年に400億円市場まで拡大する※2と言われている一方で、株式会社アフレル(以下、アフレル)と「コエテコbyGMO」(以下、コエテコ)ではプログラミングスクールやプログラミングイベントにおける参画する女子割合の低さ※3を課題に感じていました。要因として、扱うコンテンツや課題設定が男の子向けに寄っていたり、男の子が多くいる環境で女の子が新たに参加することに抵抗を感じたりする「外部環境」が挙げられるとともに、女の子を取り巻く保護者が与える「バイアス」が大きく影響していることが分かってきました。では、どのような視座を持ち、またどのようにプログラミング教育を子育てに取り入れていくべきなのでしょうか。KIKKAKEではプログラミング教育推進を実践しているプレイヤーや有識者の方々に登壇していただき、「プログラミング教育」「子育て」「女子教育」などをテーマに全5回のセミナーを開催しました。

テック分野のジェンダーギャップ、始まりは中高生から

6月3日に開催された保護者向けイベントでは、一般社団法人Waffle(以下、Waffle)Co-Founder / CEOの田中沙弥果氏がオンラインセミナーに登壇しました。2019年より女子中高生のIT教育支援や学習環境の整備に関する政策提言を行ってきた田中氏は、現在の大手IT企業各社の女性技術者の在籍率の低さについて触れ、「テック分野におけるジェンダーギャップの始まりは中高生の頃」だと指摘しました。

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「あるデータ※4によると6~12歳の66%はコンピューターサイエンスやITに興味があるとの回答に対し、中高生になると32%、大学進学になると4%にまで減少します。年齢に反比例して理系への興味関心から離れていくことはグローバルな課題として認識されています」
さらに、日本だけで見ると深刻な数字が表れていると田中氏は続けました。
「日本でICT関連に興味がある15歳の割合は3,4%しかいません。また、日本の大学工学部の女子学生比率はOECDの中でも最下位。日本の女子は理系に行かない、という現状が浮き彫りになっています」

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こうした実情を受け、Waffleでは女子中高生の進路選択時にITを候補に入れてもらえるよう、女子中高生向けのイベント「AWS Girls’ Tech Day※5」やコーディングのオンライン講座「Waffle Camp※6」、アプリコンテスト「Technovation Girls※7」といった活動に加え、公的機関への政策提言も行っていると言います。

これからの女子に必要な「価値観」とは?

今回は小中学生の子供がいる保護者向けセミナーとあって、田中氏からはこれからの女子に必要な「価値観」について話がありました。まず、アップデートすべき「価値観」について3つの事項=①女子は理系が苦手なのか②これからの時代、稼げる仕事は?③専業主婦?共働き?を提起しました。

「理系に女子が少ない原因に『能力の差』があると言われていますが、それは本当ではありません。国際的な学力調査PISAだと日本の女子は数学が世界77か国中7位、化学は6位と高い結果が出ています。よって、能力の差であるという話は信じないでください」と田中氏は強調します。

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また、学生時代に自身のお母様に「手に職を」という理由から薬剤師を勧められた経験を述べた上で、「医療系はエッセンシャルワーカーなので需要はあるが、これからの時代はITをお勧めしたい」と話しました。

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2019年時点のアメリカにおいて、初任給が一番高い職業はエンジニアリング、コンピューターサイエンス、次いで数学サイエンスとなっており、金額面で文系の学部を大きく上回っています。

STEM分野やIT分野の人材の需要が高まっているのは日本も例外ではありません。経済産業省によると2030年までに79万人のIT人材不足が予測されていますが、田中氏は背景に「あらゆるものがテクノロジーで支えられるSociety5.0の社会が到来することが起因している」としました。

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「例えば、女性の健康問題をテクノロジーで解決するFemtechは5兆円規模と言われ、今後も市場は拡大します。その他、ファッション、農業など様々な分野も同様です。急速に発展する社会をつくる担い手こそIT職です。」

また、IT職は給与の面だけでなく、女性にとって働きやすい環境でもあるそうです。IT系の事業会社に勤務した場合は自宅での勤務が比較的しやすく、「Waffleでは3人の子供を持ちながら、ライフイベントや体調によって働く場所や働き方を自由に変えている女性もいます」と田中氏は話しました。
そして、共働きの世帯数の推移を紹介した上で、これからの時代は「共働き」であることが重要とし、「女性も稼がないと生活ができない時代が来ています」と述べました。

女子中高生が「スキル」を身につける機会

では、ITスキルを身につける上で適切な年齢はあるのでしょうか。中高生やその保護者に「今からITスキルを身につけるのは遅いのでは?」といった質問を受けることがあるという田中氏ですが、「全く遅くないです」と断定。女子中高生でも気軽に参加できる機会をいくつか紹介頂きました。

Life is tech
民間の中高生向けIT・プログラミング教育サービス。女性のメンターも多く在籍している。

日本情報オリンピック 第1回女性部門
2021年に初の女性部門が設立。情報収集できるセミナーも開催している。

リコチャレ2021
女子中高生の理工系分野への進路選択を応援する内閣府男女共同参画局が中心となった取り組み。

KIKKAKE(きっかけ)~ガールズプログラミングフェス~
女子小中高生を対象にした無料プログラミングイベント。2021年6月1日~6月30日開催。

一般社団法人Waffle
理工系学部進学時のサポートやロールモデルを紹介するキャリアイベントを定期的に実施。

保護者と教育事業者がこれからの女子中高生にしてあげられる事

最後に田中氏は多くの女子中高生と接してきた経験から、保護者や教育事業者が持つジェンダーバイアスの影響力の大きさについて指摘しました。ジェンダーバイアスとは、男女の役割について固定観念を持つことを意味し、しばしば女子中高生の理工系への進路選択の妨げになっていると言います。

例えば海外のある実験では、性別にかかわらず幼児がピンクの服を着ていると人形や柔らかいおもちゃを渡し、ブルーの服を着ているとロボットなど硬いおもちゃを渡したという結果があります。その他にも、自分の子供が娘だった場合、息子に比べて科学教室への参加・科学番組の視聴・PC購入などの理系分野への促しが20%低いというデータもあるそうです。加えて、日本の教育現場では女子中高生の進路選択時に、教員が理系よりも文系を勧める事例もあると言い、「保護者や教育事業者は、無意識に女子に対するジェンダーバイアスがあることを理解してほしい」と田中氏は訴えました。

質疑応答の時間では様々な感想や質問が寄せられました。「理系分野で女性が活躍するメリットと理系分野で女性が少ない際に生じるデメリット」について聞かれた田中氏は、メリットに女性の健康に関する様々な社会課題が解決されていることを挙げました。胎児の鼓動を図るIoTデバイスや不妊治療を開発するサービスといった、今まで注目されてこなかったマイノリティな問題が技術によって改善に向かっていると言います。また、デメリットについては「技術革新の過程で女性の意見や存在が反映されないこと」であるとし、現にAIが根拠のない男性優位のデータを弾き出す時代もあったと紹介しました。

「保護者の皆様は娘さんとイベントや体験会に参加して、意識的に理系への促しをお願いしたい」と田中氏は力強く述べ、セミナーを締めくくりました。

参考リンク

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